渋滞を悪化させる“焦る気持ち”
渋滞時の合流方法としてもっとも効率的なのは、合流車線の先頭で1台ずつ交互に本線へと入っていく「ファスナー合流(ジッパー合流)」だとされている。
実際に、NEXCO中日本が名神高速道路の一宮ジャンクションにおける合流ポイントをポールによって延伸させ、先頭部での合流を促したところ、このジャンクションを含む区間の平均通過時間が約3分短縮されるなどの効果が見られたという。
このようにファスナー合流はNEXCO各社によっても推奨されており、メディアでもたびたび取りあげられているが、いまなお周知されているとは言いがたい状況だ。
筆者自身、渋滞時の合流で先頭まで行ったはいいが、本線の車両にブロックされる経験を何度かしたことがある。やはりファスナー合流の効果を知らず、前に入られることを嫌うドライバーは依然として多い。
「ズルい奴」と思われるのは釈然としないが、かといって非効率的な方法をわざわざ選ぶのも不毛である。マナーとして定着するまで地道に続けていきたいところだ。
「車間距離を広く取って不要なブレーキをしない」「合流は車線先端で1台ずつ交互に」……実証実験で効果を確かめられたこれらの渋滞対策は、いずれも「イラ立つドライバーの行動」の対極にある。とにもかくにも、個々のドライバーが心に余裕をもつことが、混雑緩和のためには欠かせない。
反対に、頻繁な車線変更や車間を詰める行為は、渋滞を悪化させ、当人の到着時間にもほとんど影響を及ぼさない。焦りやイラ立ちを抑えるためにも、あらかじめ渋滞を見越した移動プランを立てておき、また車内で快適に過ごすための準備をしておくことが大切だ。