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「なんで私一人が貧乏くじを……」
萩生田氏の要請を受けて、森元首相は塩谷氏を呼び出してこう説得した。
「ここはいったん議員辞職して次をねらったらどうかね。全責任を取るので仲間を救ってください、と申し出れば、君は立派だと光り輝くよ」
だが、塩谷氏は首を縦に振らなかった。
「なんで私一人が貧乏くじを引かねばならないのですか。議員辞職だけは絶対に承服できません」
結局、15分ほどの面談は物別れに終わり、塩谷氏は4月4日、岸田首相から党内で2番目に重い離党勧告処分をくだされた。処分理由について「事実と違う」などと訴えて再審査請求を行ったものの認められず、4月23日には離党届を提出した。
他方、森元首相に塩谷氏の説得を依頼した萩生田氏に対する処分は、「党の役職停止」に留まった。萩生田氏にとって処分としての実質的な意味はなく、将来の総理総裁候補としての目も残した。
森元首相もインタビューの中でこう語っている。
「派閥内では萩生田君を(総理総裁に)推す声が多いけれど、彼もあちこちに弾を受けてますから、少し時間を置いた方がいい」
240分にわたってインタビューに応じた記事「森喜朗元首相『裏金問題』真相を語る」は、「文藝春秋 電子版」で先行配信しているほか、5月10日発売の「文藝春秋」6月号に掲載している。森元首相が会長を務めていた頃に始まったとされる裏金作りについて、詳細に述べただけでなく、昨年7月、安倍派の会長になることを望んだ下村博文元文科相から、2000万円の入った紙袋を持参された際のやり取りなどについても明かしている。
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