19冊の写真集を出版し、さまざまな企業とコラボするなど、大活躍中の写真家・沖昌之さん。30代前半までは写真嫌いだった彼は、職場での商品撮影をきっかけに、猫を専門に撮影する「猫写真家」へと転身することになった。

 写真家として独立して約10年。撮影し続ける中で、動物を専門にするカメラマンには「気づけたこと」があるという――。

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撮影は12時間に及ぶことも…知られざる「猫専門の写真家」の一日

「猫専門」の写真家として活躍を続けている沖昌之さん。こうした「決定的瞬間」を撮り続けてきた ©沖昌之

――猫写真家の生活をお聞きしたいのですが、朝の3時半起きで撮影をされているそうですね。

沖昌之さん(以降、沖) 前はやってたんですけど、狙ってた子たちが保護猫になったりしたこともあって、最近、早起きは減りました。

 ただ、猫島と呼ばれるようなたくさんの猫が住んでいる島に撮影に行くと、早朝から撮影をはじめます。先週まで石巻の田代島に行ってまして、そのときは朝の5時半からはじめて夕方の5時半までずっと撮影してました。

――12時間の撮影とは、ハードですよね。

 といっても動物相手ですから、実際に撮影している時間って本当に少なくて、猫を探しているか、なでてるか、歩いたり立ち止まったりしながら状況を観察している時間がほとんどです。

沖昌之さん ©三宅史郎/文藝春秋

シャッターチャンスで感じる、猫の「こちらの気持ちを見透かしている」感

――ポーズの指示もできないですもんね。「今日は何も撮れなかった」という日もありますか。 

 SNSには使えるけど印刷物はむずかしいかな、みたいな日はあります。それは仕方ないですよね。そういう日は、「猫が元気で良かったな」くらいに思って、気にしないようにしてます。

――猫を見つけるのも大変かと思うのですが、コツみたいなものはありますか。