今季限りで22年間の現役生活に終止符を打つ、サッカー元日本代表の長谷部誠。類まれなリーダーシップを発揮し3大会連続でW杯キャプテンを務めた名選手が、2011年に記した『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』(幻冬舎文庫)より一部抜粋。

 累計部数155万部を突破したベストセラーより現役時代、ゲームやインターネットから距離を置いていた理由をご紹介する。(全2回の前編/続きを読む)(著者同意の下、一部表現を変更しております)

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ネットバカではいけない。

 あれは確か小学校3年生のクリスマスのことだ。クリスマスイブに欲しい物を手紙に書いて、布団にもぐり込んだ。

 僕が手紙に書いたのは「スーパーファミコンが欲しい」だった。

 当時、僕のまわりはみなスーパーファミコンを持っていて、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といったロールプレイングゲームをやっていたからだ。

 朝起きてドキドキしながら枕元の箱を見た。ん?

 何やら箱が小さい……。どう見てもスーパーファミコンが入りそうにない長細い箱が置いてあった。

 包みを破り、箱を開けるとそこに入っていたのは真新しいサッカーのスパイクだった。1週間前にスポーツ用品店で両親と一緒に試着した、黒いスパイクだった。

 そのとき僕は世の中にサンタがいないことを知った。いや、いるのかもしれないが我が家には来ないことを悟ったのだ。あの切なさは今でも忘れられない。