6月7日(金)より全国公開される『あんのこと』の完成披露舞台挨拶が都内で行われ、主演の河合優実、共演の佐藤二朗と稲垣吾郎、監督・脚本の入江悠が登壇した。
コロナ禍で起きた実話を映画化
2020年6月、コロナ禍に揺れる日本で、新聞に掲載された1本の記事。
過酷な人生を生きる女性の実話を元に、この映画は制作された。
河合が演じるのは、幼い頃から虐待を受けた末、売春やドラッグに溺れていく少女・香川杏という難しい役どころ。役作りには覚悟があったという。
「まず実在する方のお話ということで、最初から最後まで強い気持ちを持って、大切に触らないとできない役だと思っていました。実は脚本を頂いたときに、入江さんも同じような覚悟をして書かれたんだろうなという、強い気持ちみたいなものを感じたんです。
だからこそ、どこまでも真剣に、誠実にやるということに徹していて。その思いのなかで、徐々に香川杏という役柄を作る方向にシフトしていった感覚です」
シナリオを読んだ稲垣は「本当に胸が張り裂けるような思い」
脚本は「この事件もそうですが、ある種の時代を切り取って記録するのも、映画の役割かなと思いました」と言う入江監督の渾身の作品になっている。
彼女を救おうとする型破りな刑事・多々羅保を演じる佐藤、多々羅を取材するジャーナリスト・桐野達樹を演じる稲垣も、脚本から入江監督の想いを感じていたという。
「不遇の少女を救おうとする多々羅の気持ちは間違いなく本気で、本物で。この役を演ずるにあたって、その多々羅の気持ちは常に頭に置いていました」(佐藤)
「最初に実話に基づいた話と聞いていたので、シナリオをいただいたときは本当に胸が張り裂けるような思いでした。撮影中は杏の心の叫びを皆さんに届けたいという一心で、僕も演じていました。
この映画は杏の物語ですが、こういうことは僕も含めて、起こり得ることですし、急に絶望に陥ってしまうことも人間にはあるんじゃないか。この映画を見て、みなさんもそう感じてくださると思うんです。
そんなときに救ってあげられる、声を聞いてあげられる、手を差し伸べてあげられるような、そういう世の中を作っていかなきゃいけないのかなと、演じていて僕は感じました」(稲垣)