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「高校3年生の夏に、卒業を待たずに事務所に入ろうと決心をしたんです。

 そのすぐ後に気分転換に映画を見に行ったら、その日の夜にSNSのアカウントに『今日、映画館で、この映画を見ていた人ですか? 私は映画を作っている学生です。僕の映画に出て欲しいと思っているんです』ってDMが届いたんです。

 でも怖いじゃないですか。だから人がたくさんいるところで会おうと思って、高校の文化祭に呼んで。実際にお会いして、大丈夫かなと判断して、人生で初めての自主映画出演になりました。

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 でも、ネットで声をかけてきた人には会わない方がいいので、真似をしないでください!とだけは言っておきます!」

 そして稲垣が運命の出会いに選んだのは、SMAPだ。

「中学2年生ぐらいからこの業界にいて、グループは解散していますけど、今は草彅さんや香取さんと一緒にやっているので、これはすごいこと。もう30年以上ですから。ファンミーティングに来てくださるお客さんも、デビュー当時から来てくれる方、親子3代で来てくださる方もいらっしゃって。すごくありがたいなって感じますよね。でも、妻もいいですね」と佐藤のエピソードについても言及。

入江監督は本作が生まれた背景を語る

 そして入江監督は本作につながる、プロデューサー國實瑞惠との出会いは韓国の映画祭。映画祭で上映していた自主映画『SR サイタマノラッパー』に目を留めた國実が、商業映画の世界へと入江を誘い入れた。

「國實さんに久しぶりに声をかけていただいたと思ったら、(映画の元になった)新聞記事を渡されて。

 もし自分でこの記事を読んでいたら『大変な話だ』で終わっていたかもしれないのですが、國實さんに『どうですか?』って言われて、これは人生で一番大きな課題を与えられたと思ったんです。國実さんの存在は、僕にとってすごく大きいですね」と本作が生まれた背景を語った。

左から入江悠監督、稲垣吾郎、河合優実、佐藤二朗 ©山元茂樹/文藝春秋

みんなで真剣に作った映画だと心から言える作品

 現代の日本が抱える社会課題にフォーカスをした本作。

「これは4年前、この国で本当に起きた話です。気楽に見られる映画ではありませんが、皆さんに何か感じていただければと思います」(佐藤)

「私たちがすごく大切に思って、みんなで真剣に作った映画だと心から言える作品です。心を空っぽにして、まっさらな状態で皆さんに見ていただいて、考えたこと、受け取ったものを、現実の世界で培っていただけたらうれしいなと思っています」(河合)

 コロナ禍の日本で起きた衝撃の事実を描いた『あんのこと』。「この事実を多くの人に知ってもらいたい」という彼らの思いを、ぜひスクリーンで感じてほしい。