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 迷惑系YouTuberやバイトテロ、SNS中毒、掲示板に降臨する女神、整形や買い物依存といった、現代の若者を取り巻く様々な問題を紐解く際、その原因が「強い承認欲求」にあると指摘されることは多いが、結衣にとっては、ホストクラブでエースになることが、最も承認欲求を満たすことのできる行為だという。

 だから、結果を出す──いちばん金を使う女という立場を得るために結衣は、ソープランドとメンズエステとを掛け持ちしながら、ほとんど休日を作らずに働き、稼いだお金をひたすらにホスクラ通いに注ぎ込んでいる。

ホスクラは、女性たちが身を削って訪れる場所である。

 エースを取るためには毎月、莫大な金がかかるのは当然のことだが、軽く遊ぶにしてもホストクラブの飲食料金は、総じて高い。例えば、コンビニで買えば150円ほどの缶に入ったサワーが二本セットで3000~4000円、発泡酒でさえも二本で1000~2000円もする。シャンパンや高級ブランデーともなると、数十万から数百万となり、先日、結衣がおろしたリシャールは一本250万円以上、それを二本入れたことで、伝票に書かれた会計は1千万ほどだったという……というと計算が合わないように思えるが、ホストクラブの会計の仕組みは少しややこしい。

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 ビールや焼酎、ボトルやシャンパンなどにつけられた価格は『小計』と呼ばれていて、そこにセット料金や、店によってはT・C(テーブルチャージ)、指名料が加算される。さらに消費税とサービス料とを合わせたTAXが20%~40%ほどつけられたものが、支払う会計額となる。

 業界最大手のひとつで、歌舞伎町を中心に30店舗以上の直営、フランチャイズ店を持つグループダンディの『TOP DANDY 本店』のHPには、親切なことに、“お会計例”が紹介されている。セットのみ(飲み物別途)2万800円、指名と缶物四缶(二セット)オーダーの場合は2万9700円、指名と鏡月フルボトルに割物ピッチャー二杯オーダーの場合は、3万8700円(初回入店は別)となる。

 国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」によると、女性の給与所得者の年間平均給与は293万円なので、一般企業の給料ではホストクラブで遊ぶことはなかなかの贅沢だし、なりたいと願ったところで、OLの給料だけでエースとなるのはおおよそ不可能だ。

 ゆえにホス狂いが高じてエースとなっている女性たちのほとんどは、水商売かAV、風俗業、もしくはパパ活などで稼いでいる。会社の経費で飲む男性も多いキャバクラとは違い、ホストクラブは、女性たちが身を削って訪れる場所なのだ。

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