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 売り専からせっかく水揚げをしたというのに、ホストクラブに放流を頼まれるとはなんとも因果だが、加奈子は律儀にも、ホストクラブの代表を務めている、長年の付き合いのホストに相談を持ち掛けた。その伝手でOはホストクラブで働くことになったが、加奈子には確信があった。

「長く遊んでると、ホストとして売れるか売れないかってわかるんです。うーん。あくまでも勘ですけど、その場しのぎの嫌なお金の使わせ方をしないお利口な子は売れる。Oも見立て通り、ホストを始めて数か月で、あっという間に月間2千万円の売り上げを叩き出して、ホスト情報誌の巻頭も飾りました。もちろん売れるまでは、わたしも金を落としましたけど……月100万円くらいかな。もともと知ってるお店だから面白くなかったし、シャンパンくらいなんでもないって意識でこられてることが多くって、『金ドブ(金をドブに捨てる行為)だわ』なんて思いながら」

瞬く間に売れっ子ホストへと成長したけれど…

 加奈子の力添えもあって、瞬く間に売れっ子ホストへと成長したOだったが、加奈子の心境は複雑だ。

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写真はイメージ ©getty

「売り専のときは、毎晩、男を相手にセックスして、2万稼げるかって商売だったのに、ホストになって売れたもんで、Oは舞い上がってしまった。ポルシェ買ったり、全身ブランドで固めたりってなって。どんどん遠くにいってしまった。わたしも傲慢なところがあって、『その位置にいけたのは、わたしの仕業だよ』って思ってもいるし」

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