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ホストクラブを締め上げ「頂き女子りりちゃん」を立件すれば“女性の貧困”は解決するのか

2023/12/22

genre : 社会, 政治

note

 「頂き女子りりちゃん」(25)のマニュアルを購入して利用し、実際に中高年男性相手に詐欺を行ったとされた21歳の女性に対し、懲役3年執行猶予5年の有罪判決が出て騒ぎが広がっております。大変なことだと思うんですよ。

 さらに、これらの女性が積極的に男性への詐欺を行う舞台となったホストクラブに対し、4都県で警察が一斉に立ち入り検査があるなどニュースになっておりました。

「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告

 孤独だが性欲もカネもある中年男性を「おぢ」と呼び、思わせぶりな言動を駆使して孤独中年男性からいかにうまく資金を引き出すかという「頂き女子」マニュアルの出来が良く、自身でも相当額の金品を巻き上げるなどして事件化してしまった格好です。そして、実際には非モテ中年男性からホストクラブ勤務のイケメンに向けて、社会的ハイリスク女性を介在した所得移転が行われていたことを意味し、これって実に寓話的だなあと思うんですよ。食物連鎖っていうか、現代社会では常に弱者は食い物にされる、という典型じゃなかろうかと。

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 山野祐介さんも解説しておられましたが、確かにこの一連のメソッドをホストクラブでハマった兄ちゃんへ貢ぐため「おぢ」から金を巻き上げるために使うと特殊詐欺的な犯罪行為の幇助に見えます。ただ、一方でこれって中身をよく見ると「現代社会をしたたかに生きる女性の処世マニュアル」であるとも言える。

 月200万円稼いだ「頂き女子りりちゃん」(25)が1つだけ見落としたもの 男性の心は操れても“詐欺マニュアルを買う女性の心”は見えなかった? https://bunshun.jp/articles/-/65384

 お金を稼いだり、組織内で居場所を確保するために信頼関係構築を行う会話をレッスンし、ひととの関係を維持するためにはアフターケアが必要であり、本音はより良く生きるためだけど自分を殺し、目的を達成するために上手くやろうとするのって、程度の差はあれ必要なことじゃないですか。それができない人はむしろ社会からスポイルされ、繊細さんとして腫物の扱いにされたりもする。