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「食事の時は食べているもの以外の話はしない家でした」“変態料理人”稲田俊輔を育てた“鹿児島らしからぬ家庭”のユニークなルールとは

稲田俊輔さんインタビュー#2

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高校生の息子の料理は「美味くてびっくりしますよ」

稲田 無いとは言いません(笑)。でも料理を出す仕事をしていて、子供たちが好むものや敬遠するものはわかるので、そこはうまいことやってましたね。普通に美味しいと受け入れてくれそうなものを用意した中に、ちょっとピーキーなやつをそっと置いといて、そっちも試してくれたら自然に幅が広がるかなって。

――その試みは成功しましたか。

稲田 けっこう成功したと思いますね。娘にも息子にも直接料理を教えたりはしてないんですけど、娘は難しい本を買い込んでインドカレーとか作るようになりました。高校生の息子は父親への反発なのか僕が作るものを真似して作ることはしないんですが、でもどうも料理が大好きみたいなんですよ。

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――可愛すぎますね(笑)。

©三宅史郎/文藝春秋

稲田 なので僕も妻も家にいない時は、嬉々としていろいろ自分で作ってます。焼きそばとか焼きうどんとかピラフとか、そういう若々しい「肉と野菜と炭水化物」みたいなやつなんですけど、「ちょっと味見させてよ」って言うと渋々食べさせてくれて、美味くてびっくりしますよ。

――すでに料理上手に。息子さんの最近の成功作で印象に残っているものはありますか。

稲田 クリームソースのリゾットを冷蔵庫の残り物でパパッと作ったやつは美味しかったですね。僕が冷凍庫に入れていたチーズ使ってたんですけど、非常にリッチで、整った味わいになっていてびっくりしました。

――稲田さんの家にはあまり普通の家庭にはなさそうな食材がたくさんありそうですね。

稲田 実はそうでもないんです。僕はむしろ家での料理はシンプルに削ぎ落とす方で、調味料も基本調味料だけだし、味の素とかも普通に使います。多少チーズとかハーブを冷凍してストックしてたりはしますけど、意外と普通なんですよ。

©三宅史郎/文藝春秋

――それを、子供たちも自由に使えるようにしている?

稲田 そうですそうです。

――直接教えてはいないけど、料理するための環境は整ってるんですね。

稲田 レシピとかは教えてないんですけどね。ただ今って、どんな料理のレシピもネットで探せるじゃないですか。でもネットのレシピって玉石混交だからハズレも引くはずなんだけど、毎回美味しいからちゃんと当たりを見分けてるんでしょうね。もしかすると、自分で細かい部分を調整してるのかもしれませんけど、どっちにしても僕が大学生のときに作ってたものより美味しいものを作ってる気がします。そういう時は、何かしら自然と伝わったのかな、という満足感はありますね。

――また食いしん坊が2人この世に生まれたわけですね。

稲田 だとすれば嬉しいですね。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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