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「収入の面でも見習うべきことが…」

 前田の目に「俳優・中尾彬」はどう見えていたのか。

「もちろん、彼は名俳優だと思う。でも、正直なところ出世作、代表作といわれるような当たり役はないよね。それにも関わらず、芸能界の本道を60年以上歩き続けてきたのはお見事としか言いようがない。稀有な存在だと思いますよ。時代の波に乗ることが、上手かったと思います」

旧友の前田吟 ©時事通信社

 中尾は俳優業に留まらず、バラエティーやコメンテーターにも進出。前田が2002年に情報番組「スーパーモーニング」の司会を務める際にも、中尾の存在が後押しした。

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「バラエティー番組とか情報番組のコメンテーターとかを次々とこなしていたのが印象的です。役者一筋が多い私らの世代では、活動の幅をどんどん広げる先駆者的な存在だったんです。正直なことを言ってしまうと、収入の面でも見習うべきことが多かった。映画だったら長期間撮影してもギャラは1本分です。でも同じ時間バラエティーに出ればそれ以上のギャラが貰える。僕も彼を見習ってバラエティーに出るようにしたんです。それでそれなりに稼いだけど、彼は何倍も出ているじゃないですか。こいつ稼いでいるなーと内心では思っていましたよ(笑)」

 前田は中尾こそが新しい俳優像を生み出したと絶賛する。