1994年に第1シリーズの放送が始まった『古畑任三郎』(フジテレビ系)。現在、放送開始から30周年を記念して再放送され、ふたたびお茶の間を沸かせている。「無人島に何か1つ持っていくなら『古畑任三郎 COMPLETE Blu-ray BOX』」と語るドラマウォッチャーの明日菜子さんに、本作の魅力と必見の「『古畑』オススメエピソード4選」を聞いた。(全2回の後編/前編から読む)

1994年から14年にわたって、古畑任三郎を演じ続けた田村正和(享年77) ©時事通信社

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 さて、ここからは筆者の独断と偏見による『古畑任三郎』のオススメ回を紹介させていただく。シリーズ全体を通してみると、古畑フォーマットを根付かせるために奔走した第1シリーズ、最も安定感のある第2シリーズ、さらなる高みを目指して試行錯誤を繰り返した第3シリーズと見受けられる。

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■(1)「さよなら、DJ」 (第1シリーズ第11話/ゲスト:桃井かおり)

 作り手である三谷の美学が詰まった第1シリーズは、まさに『古畑任三郎』の原液と言っていい。ゲストの布陣も堺正章や鹿賀丈史、坂東三津五郎など田村と肩を並べられるようなベテラン勢を中心とした渋めのチョイスになっている。

 その中でも避けては通れないのが、桃井かおりの「さよなら、DJ」。ファンの中でも人気のエピソードで、「愛着のある犯人は?」と聞かれた三谷が真っ先に名前を挙げるのも、桃井演じるラジオDJ・中浦たか子だ。

第1シリーズの第11話「さよなら、DJ」に登場した桃井かおり ©文藝春秋

 ラジオDJにちなんで、本作はラジオの生放送中に発生した殺人事件を、放送中に解決しようと奔走する。古畑はたか子を怪しんでいたものの、彼女が生放送中に席を外したのは「サントワマミー」が流れていた約3分間。迷路のように複雑なラジオ局で、どのように犯行に至ったかを推理する。