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 デザイナーは森英恵氏。1993年6月9日、ご婚儀に際した雅子さまのローブ・デコルテも手がけ、当時をこう振り返っている。

「当時の皇太子殿下のご婚儀に際し、雅子さまのローブデコルテをおつくりしたのは光栄なことでした。いずれは皇后陛下になられるお立場の方、私の仕事人生の中でも大きな思い出です。デザイン画を何枚か用意して仮縫いをさせていただきました。出来上がりを気に入って下さり心に残っています」(「文藝春秋」2019年11月号)

上衣のえり元にあしらった花びらが風にふわりと揺れた。笑顔の雅子さま ©JMPA

雅子さまがお好きなドレスのデザインの原点

 アプリコットのローブ・モンタントで何といっても特徴的なのは、サッシュベルト風のウエスト部分をまるでリボンの片結びのようにあしらったデザインだ。全体的にボリュームを保ちながら、縦長のシルエットが生かされていて、雅子さまの凛としたお姿を演出していたように思う。そして帽子はブラックのネットで土台をつくり、ドレスの共布を巻きつけたような凝ったデザイン。ドレスと同色のビーズが縫いつけられていて、細かい手仕事が垣間見える。

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1993年6月15日、「宮中饗宴の儀」に向かわれる皇太子ご夫妻(当時、港区元赤坂の東宮仮御所) ©時事通信社

 実物を目の当たりにすると、とても上質な生地で、光沢が素晴らしかった。背中には共布のボタンが10個ほど、袖にもより小さいボタンが8個ほど連なり、細部にはクラシカルな美しさと、やはり丁寧な手仕事が光る。現在の雅子さま、そして愛子さまがお好きなドレスのデザインの原点はここにあるのではないかと思うほどだった。

 昨年、両陛下は10月7日から8日に鹿児島県へ、10月15日から16日に石川県へ「四大行幸啓」のため赴かれた。2週連続の地方訪問となり、雅子さまのお疲れを心配する関係者の声もあがったようだが、石川県ご訪問では飛行機のトラブルで予備機への乗り換えが発生しても、堂々となさっていたのが感慨深い。