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「だるくて箸も持てない」コロナ後遺症に苦しみ続ける人たち 無理解と先行きの見えない不安…症状悪化の“反動”も

source : 提携メディア

genre : ニュース, 医療, 社会

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コロナ禍の2021年の秋に2人は結婚。後遺症の症状が出る4カ月前だった。
それから、新婚生活のほとんどを家で送っている。

周囲から「働けばいいのに」「内職でもすればいいのに」と、よく言われると話す妻。
それに対し、「誰も理解してくれないと思う。仕事させればと言われるが、本人もそんな気持ちでしょと思いながら聞いている」という。

自死率が高い疾患

東京・渋谷に後遺症の専門外来を開く医院「ヒラハタクリニック」がある。この4年で7000人以上の患者が訪れた。

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クリニックを訪れていたコロナ後遺症患者に話を聞くと、「だるくて箸も持てない。ずっと寝てなきゃつらい。まぬけではなく本当につらい(2年以上後遺症の症状がある男子高校生)」「見た目が元気そうと言われると、逆に落ち込んでしまう。すごく無理してこの状態をたもっているのが伝わりづらい(3年以上後遺症の症状がある50代女性)」と、症状への理解を訴えた。

院長の平畑医師は、7割近くの後遺症患者が休職や退職に追い込まれる実態を見てきた。

 

平畑院長は「周囲の無理解や今後の見通しの立たなさで悲観して亡くなってしまう。自ら死を選んでしまう。(当院では)コロナ後遺症、そのものの症状で亡くなる人はいないが、自死は少なくても3人。自死率が高い疾患」と説明する。

今、西山さんも平畑医師の診療をオンラインで受けている。

オンライン診療を受ける西山さん

オンライン診療の様子:
西山さん「料理を5~10分しているだけで汗かいてきて、頭くらくらしてきて」
平畑院長「低血糖。(後遺症患者は)膵臓が弱い人が多い。その時はラムネ食べたら治ります」

平畑院長は「結局、アドバイスするだけで治すのは本人。運動も適切にすると改善するがやりすぎると悪くなる。やらなかったら治らない」と治療の難しさについて語った。

診療から2日後、処方された薬が西山さんの元に届いた。また、手元にはオンライン診療でアドバイスされたラムネも。「言われたものは全部試す」と西山さんは話した。