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「寝ていたら顔の上をゴキブリが歩く」母親に「汚部屋そだちを強いられた」東大卒・女性漫画家の不幸

「寝ていたら顔の上をゴキブリが歩く」母親に「汚部屋そだちを強いられた」東大卒・女性漫画家の不幸

ハミ山クリニカインタビュー #1

2023/09/18

genre : ライフ, 社会

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 今年6月に出版された『なんで私が不倫の子 汚部屋の理由と東大の意味』(竹書房)は、誰もがうらやむ“東大卒”という学歴を持ちながら、根付く劣等感が「家族の成り立ち」にあることが描かれた、ハミ山クリニカさんの自伝的作品だ。前作『汚部屋そだちの東大生』に至る背景が、より詳しく描かれている(現在は『東大女子という生き方』を文春オンライン内で連載中)。

 作中で登場するハミ山さんの実家は、こんな状態である。床上60cm以上のゴミで地層が形成され、そこに転がるのは4~5台の扇風機。トイレは7年間壊れっぱなし(バケツで水を流して使う)。ゴミをかき分け冷蔵庫をあけると、溶けた野菜が「嗅いだことのないニオイ」を発している……。

 ハミ山さんは社会人になってからこの実家から離れ、現在は自分の家庭を築いている。日々の暮らしの中で、汚部屋そだちの影響はあるのだろうか。(全2回の1回目/後編を読む)

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「汚部屋そだち」がハミ山さんの人生に与えた影響とは?(画像:『なんで私が不倫の子』より)
「汚部屋そだち」がハミ山さんの人生に与えた影響とは?(画像:『なんで私が不倫の子』より)

◆◆◆

「汚部屋の反動で、部屋が散らかるのが怖い」

「部屋が散らかってくると、若干パニックになってきます。普通は散らかっても、片付ければいい、ただそれだけのはずですよね。夜寝る前に片付けてリセットするとか。でも私は実家でそういう当たり前の生活をしてこなかったから、基本、家の中のことがとにかく身についていないし、部屋が散らかったら“実家のように大変なことになってしまう”という強迫観念的な気持ちにとりつかれてしまう。

 だからシンクに食器が少しでも溜まっていたら、どんなに疲れていても皿洗いをしたり、まだ収納する場所があっても、ものを買う時ならその分捨てないと物が増えすぎると思い込んでしまう。汚部屋の反動で、散らかるのが怖くなっている」

 
ゴミであふれたハミ山さんの実家の様子(画像:ともに『なんで私が不倫の子』より)

 実家を反面教師として、部屋を整える力がついたのでは? とも思えるが、そう単純な話ではないようだ。

「片付け方が本当にわからず、整理整頓はどうしても苦手です。だから『片付けなきゃ!』という焦りの気持ちだけは強いのに、部屋は漫然と散らかっています。家事代行サービスなどに整理整頓を助けてもらって初めて、物の片付け方が少しわかった経験もありました」

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