漫画には「ゴミはすべてあなたのためにとってあるもの」「全部あなたのものだ」という言葉も登場する。
「娘である私に、自分のしんどいことを背負って欲しい気持ちがあったのかもしれません。そんな生活で私も母も煮詰まっていき、ゴミ屋敷の度合いも深まっていった。そうなると精神的に『もう未来がない』みたいな諦めの気持ちが凝縮されていく。まるで蠱毒みたいな部屋でしたね(笑)」
「汚部屋暮らし」という恥ずかしさ
最近では汚部屋になる人は単に片付けが下手だと言うのではなく、メンタルや発達の問題が多少なりとも関係しているのが周知されるようになってきているようだ。
「でも家というのはすごく閉鎖的な空間だから、そこへブレイクスルーが入るのって、多分すごく難しい。何が原因であれ、汚部屋は外から他者が介入しないとどうにもならないと思うのですが、当事者としては『こんな家に人を入れられない』という拒否の気持ちが来るんですよね。もはやそんなことを言っている場合じゃないのに、汚部屋という特殊空間にいると、本当に判断能力がなくなっていく。気軽に他人に相談できないし、恥ずかしさや、自分が責められているような気持ちもあるでしょうし。
それにどうしても、今日一日生きられているからいいという、場当たり的な過ごし方になる。でもやっぱり年はとっていくから、ずるずると人生を棒に振ってしまうこともあるのではないでしょうか」
大切なものでもためこめばゴミ化し、逆に失うものがいかに多いか。巷には「部屋が汚くても死にはしない」という主張も存在するが、ハミ山さんの話す「その後の生活への影響」を知り、もっと深刻に取り組むべき問題であることがよくわかった。