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《ススキノ首狩り殺人事件》歪な愛情で結びついた“田村親子の闇”を祖父はどう見ていたのか「まさか人を殺してくるなんて…」

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Aさんは従業員の間で要注意人物として認識されていた

 週末になると、ススキノに繰り出し、クラブやディスコを回遊していたAさんは、知人に「女装はするけど、好きなのは女の子」と明言。そこには、打算も見え隠れした。常連だったクラブの元従業員が明かす。

「身分証で男性だとは確認していたのですが、女装して来るし、ジェンダーへの配慮もあって、女性扱いで入れていました。時間帯によっては無料で、彼が来るのはだいたいその時間。女性からも料金を取るイベントの時は、『それならいいです』と帰ったことも」

 いつしかAさんは、従業員の間で、注意が必要な人物として認識されていく。

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亡くなったAさんは女装が趣味

「1人で来て、よく客に声をかけていましたが、だいたい小柄でかわいらしい女の子。女性専用スペースに出入りし、酔い潰れた女の子を介抱しようと女子トイレに居座ったことも。厳重に注意をすると、『ここは差別をする店なのか』と怒っていました」(同前)

娘の犯行に両親が加担

 ススキノでは、Aさんにまつわるトラブルの火種が、燻っていた。前出の知人によれば実際に出入り禁止になった店もあったという。

 事件前から面識があったという瑠奈との間で、何が“発火点”となったのか。

田村瑠奈容疑者(小学校の卒業アルバム)

「あまり人馴れしていない瑠奈は、知り合った被害者との間で、本人にとって屈辱的と感じる経験をしたと思われる」(捜査関係者)

 常軌を逸しているのは、娘の犯行に両親が加担したことだ。祖父が振り返る。

「(事件について)修は瑠奈が『許せん!』ってなった中身をさ、知ったんだよ。浩子は全て父ちゃん(修)任せ。言ったら従うタイプ。でも、まさか人を殺してくるなんて……」

 瑠奈は逮捕後、こんな趣旨の供述をしたという。

「自分の中には何人もの人格がある。(犯行は)その中の1人がやった」

 かつては多重人格障害とも呼ばれていた解離性同一症を連想させるものだ。そして、その犯行に加担した1人が、精神科の専門医である父親――。歪な愛情で結びついた田村親子の闇。光が届いているのは、まだほんの一部に過ぎない。

◆ ◆ ◆

 6月12日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および13日(木)発売の「週刊文春」では、戦慄の事件について詳しく報じる。母が「この世の地獄」と形容した事件後の日々、首狩り娘と精神科医父の衝撃のSMプレイ、恋人ジェフ・ザ・キラーとの自宅結婚式、父が送迎した怪談バーなど、新聞・テレビが報じない「深層」について5ページにわたって特集する。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

《ススキノ首狩り殺人事件》歪な愛情で結びついた“田村親子の闇”を祖父はどう見ていたのか「まさか人を殺してくるなんて…」

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