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 国は百万単位で物事を進めるけれど、東京都だと千万単位、億単位だというのです。

 東京はいまバブルです。全国の法人税の4割が、本社のある都に納められる。子どもへの給付増額は、財政が潤沢な東京にはできても、国では増税論議になります。国がやれないことでも、都はやれる。結果、東京一極集中はますます進む。

 この構図を改めなければ、東京都だけでなく、国の先行きは非常に危ういものになってしまいます。

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これ以上、共犯者を増やさないで欲しい

 今回、背中を押してくれた人物が2人います。ひとりは、水俣病の原因企業であるチッソの水俣工場附属病院長の細川一さんです。水俣病の原因が工場から流れ出る排水にあることを、細川さんは実験で突き止めていました。結果は工場長にも伝えましたが、会社は利益を求めて公表せず、排水を流し続け、被害が拡大しました。

 細川さんは病床で「チッソの排水が原因だと自分は幹部に伝えた」と証言しました。この証言は重く、裁判でチッソの責任が追及される根拠となりました。多くの関係者が口をつぐみましたが、細川さんは悩んだ末に、正しいことをして死にたいと考えたのだと思います。

 もうひとりは、小池さんとカイロで同居していた北原百代さんです。北原さんも大変に悩んだそうです。でも、やはり事実を知りながら黙っているのは、共犯者になることと一緒だと考えて証言をした。また、北原さんはこの問題を黙殺する大手メディアをなんとか動かしたいと考え、『女帝』の文庫化にあたって実名証言に切り替えた。その勇気に敬服したのです。

小池氏は無言を貫くのか ©時事通信社

 権力者は役人に取り囲まれて、権力の虜になっていく。そうなってしまった政治家を私は何人も見てきました。それには注意しなくてはいけない。再選を控えた小池さんに、そう言ったことがあります。

「私はそうなっている?」

 と聞かれたので、私は、

「まだ、そうなっていない」

 と答えました。でも今、聞かれたら、こう答えます。

「もう、そうなってしまった」

 都知事再選以来、都議会でカイロ時代の小池さんに関する質問が出ています。しかし、小池さんしか知りえず、どこでも説明していないことなのに、小池さんは答弁に立たず、東京都の局長に「知事がこれまで議会など様々な場面でお伝えしてきた」と答弁させています。

 小池さん、これ以上、周囲の人を巻き込み、共犯者を作らないでください。そして自ら真実を述べ、出処進退を決めてください。

本記事の全文は、「文藝春秋 電子版」に掲載されています(小島敏郎「『私は学歴詐称工作に加担してしまった』小池百合子都知事 元側近の爆弾告発」)。