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「2児の母」という単語ひとつの裏側にも、想像を絶する葛藤があったかも

 とはいえ、私はまったく子どもを産む気持ちになったことがなく、子どもを育てるのも本当に大変なことです。誰かがやってくれるのならちょっとくらい税金等を多めに払ってでもどなたかお志のある方に育てていただきたいと思ってしまうタイプです……。自分が努力して自分が何かを達成することのほうが、人間をひとり育て上げるよりむしろ楽なのではないか、と思ってしまうこともあるくらいです。

 もちろん、考え方は人それぞれですし、私の個人的な感想をあたかも基準のようなものとして提案するつもりはないのですが、「2児の母」「3児の父」という単語ひとつの裏側にも、もしかしたら母たち、父たちの想像を絶する葛藤があったかもしれません。

『週刊文春WOMAN』2024春号

 江戸時代、大奥では、二つのキャリアプランがあったといいます。一つは説明するまでもないことでしょうけれども、将軍のお手付きとなり、将軍の子を産んで「お部屋様」となるコース。

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 もう一つは、上流階級の礼儀作法をわきまえ、豊富な人脈を築き、故郷と中央政府を結ぶ人材兼地域における私塾の教師のような存在として生涯尊敬される女性として生きるというコースです。どちらもそれぞれに存在意義があり、その価値を比べられるようなものでもないと思います。

 現代にも、このような複数のキャリアプランを肯定的に自然に認知できる環境が整っていればいいのにという感想をしばしば覚えないでもありません。いまだに私たちは社会進化の途中にあるのだなと改めて感じさせられます。

text:Atsuko Komine

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