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「2児の母」「3児の父」という単語にモヤモヤ…プロフィールに“子どもの数”は必要か

中野信子の人生相談#2

2024/06/22
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 みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えする連載「あなたのお悩み、脳が解決できるかも?」。今回は、「プロフィールになぜ子どもの数を明記するのか」という難題に、中野さんが脳科学の観点から回答します。(全3回の2回目。#1#3を読む)

中野信子さん ©文藝春秋

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Q 出演者のプロフィールに子どもの数が記されている意味が分かりません─61歳・新米専業主婦からの相談

――40年間勤務した会社を定年退職し、初めて専業主婦をやっています。毎日ワイドショーを興味深く観ているのですが、出演者について「2児の母」「3児の父」などとテロップで紹介されることが気になっています。プロフィールとして著書や受賞歴が紹介されるのは分かりますが、なぜ子どもの数を記すのか意味が分からないし、子どもの数が多ければ多いほど立派だと言わんばかりではないか……と思ってしまうのは、子どもがいない私のひがみというものでしょうか。

 子どもの数が多ければ立派という考えが透けて見えるような但し書きに、モヤモヤとした気分を抱えてしまう気持ちはよく分かります。大学院生の頃に、素晴らしい業績を上げている女性研究者の先輩の話をしたところ、男性教官からひと言だけ、「ふうん。それで彼女は子どもは産んだの?」と返されて大変びっくりした思い出があります。いわゆる最高学府の教官がですよ! そりゃあ日本における女性の教授の割合が低いのも頷けるというものですよね。

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 ワイドショーではそういう表現をしないように十分に配慮している真面目なスタッフもたくさんいるのですが、それでもメディアが率先してそのお先棒を担いでいるように見える現状にも割り切れないものを感じないでもありません。