楽天がプロ野球参戦20年目にして、交流戦で初優勝を果たした。
今江敏晃(40)が監督になって1年目だが、交流戦開幕時点では18勝26敗。西武の松井稼頭央監督が事実上の更迭になった時は、次は今江の番だろうと囁かれていた。
しかし、交流戦が終わってみれば13勝5敗の快進撃で借金も完済。楽天では野村克也監督や星野仙一監督といった名将もなし得なかった快挙を史上最年少で達成した。
交流戦最終戦の6月16日、楽天は本拠地で広島に勝つと、同率首位で並んでいたソフトバンクの試合をロッカールームでコーチ陣とともに見ていた。
ソフトバンクの敗戦で交流戦優勝が決まると「やっと笑える」と周囲を和ませながら、「選手を褒めてやってほしい」と“兄貴分”らしいコメントを残した。
「『持っている』星の下に生まれた人間なのだと思います」
今江監督がロッテから楽天にやってきたのは、プロ野球参入から10年後の2015年。球団創設20年、交流戦も始まって20年、今江監督が楽天へ来て10年という節目の年に初優勝を飾ったことになる。
ロッテ時代の「選手・今江」を知るコーチは、2005年と2010年に日本シリーズMVPを獲得したことを引き合いに、今江監督の勝負強さをこう語る。
「出場することすら難しい日本シリーズの舞台に立って、そこへコンディションをピークに合わせることは至難の業。今江はそれを2度もやっている。いわゆる『持っている』星の下に生まれた人間なのだと思います。監督になっても、ノムさんや星野さんができなかった交流戦初優勝ですから。今江の勝負強さを改めて実感しました」
そう言われると、昨オフに監督に就任したことも今江監督の持つ星の強さだったのかもしれない。
昨年の開幕時点では、2軍の打撃コーチだった。5月に1軍のコーチに昇格して不振だった打線を立て直すと、石井一久前監督の辞任を受けて、40歳にして監督の座に就いた。40歳での監督就任は12球団最年少で、本人も「イメージしていたプランからは相当ジャンプアップしました」と驚いていた。
さる球界関係者が証言する。