──肉体を改造して挑んだ吉川さんの龐煖からは、強さや偉大さにもまして深い悲しみを感じました。
吉川 そう思って見ていただけるのは嬉しいです。
龐煖は、いわゆる「将軍」と呼ばれる武者たちとは違い、戦をくだらないものだと考えています。それは、達観ではなく、悲しみからくるものだと僕は思っていて。だからそれを出せるように、声を落として低いトーンでぼそぼそ話すようにしました。
──なぜ龐煖はそんなに悲しいのでしょう?
吉川 生きようという強い希望が感じられないからではないでしょうか。
命をかけて秦国を守ろうとする王騎のように、己の命をかけるべきものが持てず、ただ王騎を討つことのみが目的になっている。そんな龐煖は、まるで死に場所を探しているかのようで、それが永遠に続く悲しみの源泉ではないかと解釈しました。
そんな龐煖の深い孤独や悲しみを追求するために、撮影中は大沢くんはもちろん、主役の(山﨑)賢人くんや羌瘣(きょうかい)を演じた(清野)菜名ちゃんとも少し距離を置いていました。
日本のエンターテインメントの勇気と希望
──今作では、ついに王騎と龐煖の決戦が観られるということで、物語がかつてないほど盛り上がっているのも事実です。今作への思いをお聞かせください。
吉川 映画『キングダム』シリーズは、日本のエンターテインメントってまだ捨てたものじゃないよね、という勇気と希望を与えてくれる、スケール感と立体感のある作品です。
こういう壮大なスケール感の映画を観ると、自分の悩みもちっぽけなものに感じて、前向きな気持ちになれると思います。僕も大きなスクリーンで観たいので、劇場へ足を運びたいと思っています。
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『キングダム 大将軍の帰還』
監督:佐藤信介/脚本:黒岩勉、原泰久/出演:山﨑賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、吉川晃司、小栗旬、大沢たかお/2024年/日本/146分/配給:東宝、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/公開中