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「歌い手としては、声が出なくなったら引き時かなと思いますね」大病を乗り越え、挑み続ける吉川晃司(58)の“見得の切り方” <来年還暦>

吉川晃司さんインタビュー #2

2024/07/12

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画, 芸能, 音楽

note

 肉体改造をして臨んだ映画『キングダム』シリーズの龐煖(ほうけん)にとどまらず、今年は映画『ドラえもん』での声優デビュー、布袋寅泰さんとの伝説のユニットCOMPLEXの復活ライブなど、精力的に活動を続ける吉川晃司さん(58)。

 狭心症や外傷性白内障を乗り越えてデビュー40周年を迎えた吉川さんに、これまでとこれからを聞いた。(全2回の2回目/最初から読む)

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「お客さんに飽きられるアクションはしない」を死守したい

──50代後半になってもなお、龐煖のようにハードな役に挑む理由を教えてください。

吉川晃司(以下、吉川) ダイヤの原石って、楽なほうではなく、大変なほうに落ちてるんですよ。得るものがたくさんある。だからです。

 僕はプロとして「お客さんに飽きられるアクションはしない」ということを死守したいと思っています。カラダを鍛え、ちょっと無理かなと思うような挑戦を続けることって、その信条を守っていくうえでも有効なんですよね。

吉川晃司さん

 僕の軸は歌手ですが、僕みたいにロックンロールに憧れて育った人間って、見得を切ってナンボ、という意識で日々を過ごしているわけです。

 ですから今回、龐煖のような役をいただけたことは、自分にとって新たな挑戦ができるきっかけになって、嬉しかったですね。ちょっと無理をしても頑張ろうと思ってお受けしました。

──いくら「見得を切る」ためとはいえ、体力的・機能的衰えに抗えない場合にはどうされているのですか?

吉川 20代の頃は自分が不死身だと思っていたこともありましたが、最近はまわりに迷惑がかかったり、己の本分を発揮できなくなったりする危険性のある行動は、徐々に避けるようになりました。


1984年、『すかんぴんウォーク』で毎日映画コンクール新人演技賞、ブルーリボン賞新人賞を受賞した際の吉川さん ©共同通信

 たとえば一時期やっていた流鏑馬は、落馬すると確実に骨折するので、さすがにもうやっていませんし、同じ理由でバイクのウイリーもやめました。