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「そこに吉川晃司が必要か」という目線

──今年は『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』で声優にも初挑戦されました。これも「ダイヤの原石探し」のひとつですか?

吉川 お話をいただいたときは、僕自身も驚きました。僕でいいのかなとも思いましたが、やらせていただいて、新しい経験値を積むことができました。

 ただ、「吉川晃司のせいで、ドラえもんが台無しだ」と思われてしまうのは、本当につらいことなので「やらせていただくけど、あんまりうまくなかったら他の人に代えてください」と何度もお願いして、お受けしました。

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 ある意味、この歳になっても恥をかかせていただけるというのは、すごくありがたいですよね。

 まったく知らない世界をのぞいたり、畑違いのことにチャレンジしたりすることは、人としての経験値もあげてくれます。今後も機会をいただけることがあれば、カラダに無理のない範囲で、いろんな挑戦をしていきたいと思っています。

──新しいことに挑戦するときに、大事にされていることはありますか?

吉川 人気作品だからとか、話題性があるからではなく、「そこに吉川晃司が必要か」という目線は入れるようにしています。

 今回、オファーを受けたのは、孤高の一匹狼的な趙の総大将・龐煖のなかに感じたロックスピリット(反骨精神)に自分と共通するものを感じたからということもあります。

『キングダム』シリーズで演じた趙の総大将・龐煖 ©原泰久/集英社 ©2024映画「キングダム」製作委員会

 ロックは体制側ではないマイノリティな思想で、『キングダム』で言うといわば体制の中にいる秦国の武将たちにはないものです。僕自身もたとえるなら「朱に交わったら黒くなる」龐煖のようであり続けたいと、ずっと思っています。