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「歌い手としては、声が出なくなったら引き時かなと思いますね」大病を乗り越え、挑み続ける吉川晃司(58)の“見得の切り方” <来年還暦>

吉川晃司さんインタビュー #2

2024/07/12

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画, 芸能, 音楽

note

若い頃より強くなったロックスピリット

──若い頃と比べ、ロックスピリットが薄れたり、守りに入ったりするようなことはないのでしょうか。

吉川 ないですね。むしろ、ロックスピリットは強くなっているように感じます。

 多分、僕は意固地なんですよ。偏屈といったらいいかな(笑)。

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 見得を切りながら、しなやかに生きていきたいと思ってはいても、それってすごくバランスが難しいんですよね。見得を切り続けると偏屈に偏っていき、「ああはなりたくないな」と思ってきた扱いにくい爺さんに近づいている気もします。気をつけないと(笑)。

──『キングダム 大将軍の帰還』での大沢たかおさんと吉川さんの一騎打ちは、「扱いにくい爺さん」どころか、お互いに背負ってきたものの大きさや重さを感じる、大迫力のシーンとなっていました。

吉川 若いうちにかっこいいだろう、これが素敵なんだ、と思っていたことって、今とはまったく違いますよね。

 若い頃には決して出せなかった人生の重みが、今は逆に出せるようになったかなと思います。

公開中の『キングダム 大将軍の帰還』で直接対決を果たした龐煖と王騎(大沢たかお) ©原泰久/集英社 ©2024映画「キングダム」製作委員会

 日本人はいまだに「若いことが美しい」みたいな風潮がありますが、「若い」って結局、「愚か」と同義語ですからね。「ピチピチさがいいだけで、味わいもへったくれもあったもんじゃない」という言い方だってできるわけですよ。

 だから僕は、本当に面白いのは、50歳を過ぎてからだと思っています。なんて、負け惜しみも多少入っているかもしれませんが(笑)。