4月1日付で新たなプロ棋士が2人誕生した。第76回三段リーグを突破した齊藤優希新四段(28)と炭崎俊毅新四段(16)である。新四段の素顔に迫ってみたい。
齊藤、三段リーグで歴代最高の17勝1敗
第76回三段リーグは齊藤の独壇場だった、というと言い過ぎかもしれないが、ここまで1人の三段に注目が集まったリーグもそうはないと思う。前期の第75回リーグでは惜しくも次点(3位)に終わった齊藤は、そのうっぷんを晴らすかのように勝ちまくった。
昨年の10月19日に行われた開幕戦を連勝して好スタートを切ると、そのままあれよあれよという間に白星を積み重ねた。2月2日のリーグで開幕14連勝を達成。リーグ開幕から14連勝を達成したのは第60回リーグでの西田拓也現五段以来、2人目となる。最終成績は17勝1敗で、これまでの三段リーグ最高成績だった16勝2敗(第3回の小倉久史、第4回の藤原直哉、第30回の大平武洋、第34回の片上大輔、第56回の青嶋未来、第65回の渡辺和史が達成)という記録を更新した。
もっとも、西田の時は14連勝目で四段昇段が決まったが、今期の齊藤はこの時点での昇段は決まらなかった。「14連勝で決まると思っていたので、きつかった」と後に振り返っている。残り4局で1勝、あるいは競争相手が転んでも昇段決定と、相当に有利な状況であったことは間違いないが、過去のリーグでは開幕14連勝はともかくとして、最後の4局のうち1つ勝っていれば昇段だったのに4連敗で昇段を逃した、というケースはそれなりにあった。
三段リーグで開幕14連勝も昇段決まらず
結果的に今期の齊藤は、ラスト4局を全敗していても四段に昇段していたのだが、開幕14連勝で四段昇段が決まらないというのはレアケースなのかどうか。過去75回の三段リーグ1位通過者が開幕14連勝を達成したと仮定すると、その内の3分の1ほどは14回戦終了時に四段昇段が決まっていなかった。
なお、三段リーグで14勝が記録(15勝以上は含まず)されたのは50回ほどだが、その内の8回はその期のリーグで四段昇段に届いていない。14勝で昇段できないのは不運といえそうだが、開幕14連勝は逆転される目は少ないとはいえ、その時点でまだ決まらない確率は現実的な数字とも言えそうだ。
3月8日に行われたリーグ最終17、18回戦の注目は、なんといっても齊藤が全勝を達成するかどうかだった。前述したように最終成績は17勝1敗で、最終18回戦に惜しくも敗れた。「勝ちもあった将棋だったので、そこで負けたのは悔しいです。自分の弱さだと思うので、反省して次に生かしたい」と振り返っていた。