16歳9ヵ月でプロ入り。現役最年少棋士となった炭崎

 炭崎は16歳9ヵ月でのプロ入り。今期の昇段について「これまでの三段リーグは最終戦で昇段に関われていませんでしたが、今期は自力が残っていたので、気を引き締めて頑張ろう、という気持ちになりました。16回戦が終わって、学校の友人から『最後、頑張ってね』と言われて、それも励みになりました」と語った。

 また炭崎は19歳の藤本渚六段から現役最年少棋士の立場を引き継ぐことになった。中学生棋士とはいかないが、四段昇段日時が正式に判明している棋士の中では11番目の年少四段である。年少棋士の先輩のほとんどがタイトル獲得に至っているので、当然ながら炭崎にも大きな期待が掛かる。昇段直後の共同記者会見では「小学生名人戦で優勝した時(2019年)に『活躍できるプロ棋士になりたい』と言いました。その気持ちは今でも残っていて、プロになれたのはうれしいですが、これからはもっと力をつけて、よりいい将棋が指せたらと思います」と語った。

炭崎俊毅新四段

 なお、現在の年少棋士は年少順に炭崎、藤本六段、吉池隆真四段、上野裕寿五段となる。四段昇段から半年の吉池はともかく(初年度の成績は11勝1敗と好成績だ)、藤本と上野はすでに棋戦優勝の経験がある、ポスト藤井をうかがう期待の新鋭だ(もっとも、上野に続く年少棋士が伊藤匠叡王と藤井聡太竜王・名人というタイトル保持者2人なのだが)。

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井上一門で、兄弟弟子と切磋琢磨

 炭崎、藤本、上野はみな井上慶太九段門下の兄弟弟子である。炭崎は記者会見で一門について以下のように語っていた。

「初段になったくらいから一門研究会に参加し、兄弟子たちにお世話になりました。特に藤本先生と上野先生が指している将棋は安定感があると思うので、そういう将棋を目指してやっていきたいです。公式戦で師匠や兄弟子と指したいですね。棋譜はいつも見ていますが、自分が対局するとまた違ってくると思います」

 上野五段は炭崎の四段昇段について以下のように語った。

「炭崎くんの四段昇段はとても嬉しく思います。彼がまだ小学生の頃に、師匠が開いている教室で駒落ちで対局した記憶があります。当時から一目置かれる存在というか周りより頭一つ抜けて強かったように思います。私はその頃から炭崎くんを知っていたので、一気に奨励会を駆け上がった印象があり、彼の成長の早さを感じます。

 奨励会での対戦はないですが、一門研究会ではよく将棋を指しました。序盤へのこだわりを感じます。記者会見ではAIをあまり使わないと言っていましたが、その分実戦で経験を積んで、自分に合った指し方を選んでいる気がします。AIに頼りすぎてないからこそ、その場での対応力が彼の強みかなと思います。

 井上一門は普段は仲が良く、また研究会で将棋を指して高めあう仲間でありながら、本番になるとバチバチみたいな関係がお互いにいい影響を与えて成長できていると思います。私も負けないようにこれからも頑張っていきたいです」