「信たちとの戦い」と「王騎との一騎打ち」の差別化
──龐煖のアクションでのこだわりも教えてください。
吉川 前半の主人公・信(演:山﨑賢人)率いる飛信隊と戦うシーンと、後半の王騎との一騎打ちのシーンでは、アクションの見せ方を変えました。
圧倒的に体格差のある信との戦いでは、大きく動かないほうが、逆に「大きさ」を感じさせることができますが、体格が互角の王騎との一騎打ちでは、お互いに持てる力を存分に発揮しながら大きく戦うことで、力の大きさを魅せることができます。ここは徹底的にこだわりました。
あとは、僕は足技が得意なので、足を使ったアクションや、飛んできてぐるっと回るアクションや一回転する動きを入れたいと言ってやらせてもらいました。「原作にはありません」と言われましたけど(笑)。
──今作ではアクションシーンの迫力もさることながら、それぞれのキャラクターの人間ドラマもていねいに描かれています。
吉川 そこが映画『キングダム』シリーズの人気の秘訣なんだと思います。アクションシーンは今作に欠かせない重要なものですが、中心にあるのは天下の大将軍になるという夢を抱く戦災孤児・信と、信をとりまく人々の心模様です。
人々の感情の機微を描くことなくアクションシーンだけを描いていたら、アクション技術の博覧会みたいになって、あっという間に観客に飽きられてしまうでしょうからね。
王騎と対峙するため15キロ増量した肉体改造
──王騎役を演じた大沢たかおさんも、『キングダム』のために、体重をかなり増やし、カラダ改造をされていました。キャストのみなさんの役作りへの情熱も感じます。
吉川 甲冑を身に纏い、馬上で存在感を出さないといけない王騎は、ボディービルダーのように見せる筋肉をつけなくてはいけません。大沢くんは体重を90キロに増やして王騎役に挑んでいました。
一方、龐煖は頭陀袋みたいな素材を身に纏っているので、カラダが隠せます。だからそこまで筋肉をつける必要はありませんでしたが、王騎と対峙するからには、同じくらいまで体重を増やさないといけないだろうと、86キロまで増やしました。
『キングダム』の前は、ドラマの撮影に合わせて71キロをキープしていましたから、そこから15キロ増やし、撮影後はコンサートツアーが始まるのでまた戻し…と、僕もかなり大変でした。