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退院の翌週に『脱力タイムズ』収録『ミヤネ屋』生出演…がんと宣告され「余命10年」でも岸博幸がすぐにテレビ復帰した理由

『余命10年 多発性骨髄腫になって、やめたこと・始めたこと。』より#3

2024/06/29
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 僕にとって、たばこがおいしいかどうかは、その時々の体調をはかるバロメーターでもある。つまり、たばこがまずい=体調が思わしくないということ。多発性骨髄腫という病の厄介さと治療のしんどさを、心から実感することになった。

 2024年に入って、ようやく薬剤に体が慣れてきたのか、体調が悪い日も減ってきた。この治療を始めてから血液の数値は徐々に改善を続けているので、当分はこれを続けることになるのだろう。

 もともと体力が抜群にあったのに加え、規則正しい生活を送るようになったおかげで、顔色も良くなり、元気に見られるようになったのは本当に良かった。正直に言えば、治療で体力はかなり落ちたし、日によって体調にはアップダウンがあり、体調の良くない日はやはりしんどい。

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 骨がもろくなっているのにも気を遣うので大変だ。でも、文句を言ってもしょうがない。辛抱強く治療を続けながら、明るく楽しく仕事と遊びを頑張るしかない。

©杉田裕一

 もしかしたら、この先期待するほどの回復が見られなければ、新たな治療に移ることになるかもしれない。それでも、病気が見つかった頃の「異常なレベル」に比べれば、血液検査の数値は改善している。そう考えると、僕は本当に運が良いと思う。そもそも人間ドックを受けたこと、その後、血液内科の専門医にすぐに診てもらえたことからして、幸運が重なった結果なのだから。

 それに……、病気になったこと、そして、余命10年と理解したことで、人生観がすごく大きく変わった。大事な悟り、というか気づきを得ることができたのだ。だからきっと、人生残りの10年は、すごく楽しく過ごせると思う。今となっては、この病気が見つかったのは、僕にとってラッキーなことだったと強がりではなく心から思っている。

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