自由奔放なギャル2人と、キザなギャル男が織りなす“パリピ漫才”が人気のお笑いトリオ「ぱーてぃーちゃん」。ツッコミ担当・すがちゃん最高No.1(32)は、家出を繰り返す父親に振り回され、中1から一人暮らしを経験する。それでも彼は父親を嫌うことなく、自由な生き方を尊敬していたという。

 しかし、そんな父親がガンを患い、3年前に他界してしまう。リスペクトしていた父親の病を知ったとき、息子はどのように向き合い、最期にどんな言葉を交わしたのか――。

 4月26日に著書『中1、一人暮らし、意外とバレない』(ワニブックス)を上梓するすがちゃん最高No.1に話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)

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すがちゃん最高No.1 ©細田忠/文藝春秋

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「おい! 直人いるか!」父親が劇場に殴り込んできたワケ

――大人になってから、お父さんとの関係は変わりましたか。

すがちゃん最高No.1(以下、すがちゃん) 話すのも恥ずかしかったし、ずっと自分が芸人をやってることも隠していたんですけど、だいぶ話しやすくなっていたと思います。

 芸人を始めてから、親父に「あんなに大人しくて家でも喋らない奴が芸人なんて」と思われるのがめっちゃ嫌だったんです。でもある日、親父が劇場に殴り込んできたことがあって。

――それはまたなぜですか。

すがちゃん 僕の借金の返済が滞っていて、その連絡が親父にいったらしいんですよ。バカでかい声で「おい! 直人(すがちゃんの本名)いるか!」って聞こえてきて、周囲の芸人たちから大注目を浴びてて。とにかく恥ずかしくって。

父親とお酒を飲むときはナンパかコンパ

――それは恥ずかしいですね。

すがちゃん しかも、芸人仲間に「おめぇと直人どっちがおもしれえんだ」とか絡んでるんですよ。気付けば親父がトーク回してるし、しかもドッカンドッカンウケてるし。

 親父はそのまま「ライブ見ていくわ」と言って僕らの漫才を見たんですけど、僕はものすごく赤面していたと思います。

 

――お父さんの反応はどうだったのですか。

すがちゃん 僕のことをからかわなかったんですよ。「ちょっとツッコミ弱かったな」「俺のほうがおもしれーんじゃねえか」みたいな感じで来たので、自然に「いやうるせえよ」とか言って、その時初めて親父にツッコんだというか。

 なんていうか、恥ずかしさの壁を壊された感じがしましたね。それからは親父と飲みに行ったり、一緒にナンパしたりコンパに行ったりするようになりました。

――お父さんとお酒を飲むときはだいたいナンパかコンパなんですか。

すがちゃん 真面目な話なんか全然しなくて、だいたい大衆居酒屋とかに行ってずっとナンパしてましたね。「こいつ芸人やってんだよ~」とか「俺とどっちがかっこいい?」とか言って。