3歳で母親と死別し、破天荒な父親と個性的な家族のもとで幼少期を過ごした、お笑いトリオ「ぱーてぃーちゃん」のツッコミ担当・すがちゃん最高No.1(32)。中学1年生のときに家族全員が家からいなくなり、12歳で一人暮らしをすることになる。いったい、彼の子ども時代に何があったのか――。
ここでは、すがちゃんの初エッセイ『中1、一人暮らし、意外とバレない』(ワニブックス)より一部を抜粋。父親の破天荒すぎるエピソードを紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)
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実の父親と異性をナンパ、その手口は…
2019年7月。
27歳になった俺は、
実の父親と、女の子をナンパしていた。
果たしてこの世に何人いるだろうか、実の父親と異性をナンパしたことがある人が。限りなく0に近いのではないだろうか。
ただ、残念なことにうちの父親はそういう“可能性0%”のオンリーワンの父親と言えるほどの男だった。
親父のナンパのやり口はこうだ。
親父は当時葛飾に住んでいて、周辺には親父が“ナンパ用”に使っているカウンターメインの狭めの居酒屋が数軒あった。親父は俺をつれて、そのナンパ用居酒屋を順に、外から見て回る。
1軒目を覗き……「次行くぞ」と2軒目へ。2軒目も外から覗き、何がダメだったのかよくわからないが3軒目へ。3軒目を覗き……笑顔になって、「ここだな」と、ようやく中へと入る。
カウンターには2人の明るい感じの女の子が座っていた。
親父は俺と共にカウンターに座る。店が狭いので、女の子の隣に座ったところでなんの違和感も持たれない。
親父はしばらくメニューを見たあと、何げない感じで隣の女の子に、
「なぁ、それ、美味いか?」
と楽しげに話しかける。のだが、この話しかけ方が、とにかく絶妙!
いやらしさがまるでないのだ。