ガン治療中の父親がマルチ商法にハマってしまい…
――お父さんはガンを患われていたそうですが、それを知った時はどんな心境でしたか。
すがちゃん 親父がガンだったってことを、僕は本人から聞いてないんですよ。親父がそのとき狙っていた女の人と僕と3人で飲んだ時、親父がタバコを吸いに行った隙をついて、その女性から「あなたのお父さん、ガンなの。すぐにでも病院に行った方がいい」と聞かされました。
その人はずっと病院に行くように言ってくれていたんですが、親父は一度入院した時にタバコもお酒もダメだったのが嫌で、言うことを聞いてくれないんだ、と。もうめっちゃ親父じゃん、親父らしいなと思って。
――お父さんの病気を知ってから、親子関係は変化しましたか。
すがちゃん しましたね。実は全然治ってなかったんですけど、親父の病気が一旦治ったと聞かされていたときに、その期間にめっちゃ飲みに行きました。「会っとかないとダメだな」というか、親孝行じゃないですけど、一緒にコンパ行ったりとか、親父がしたいことをもっと一緒にやんなきゃな、と思いました。
ちゃんと治療していれば治っていたらしいんですけど、全部途中で辞めちゃって。それもすごく親父っぽいです。
――お父さんは病院での治療を辞められたあと、マルチ商法にハマっていたのだとか。
すがちゃん 伯母さんと親父が2人ともハマってましたね。人がいいし、相手の言っていることが全部本当だと思っちゃうんです。多分、みんなが知っているような有名なものは全部引っかかってるんじゃないですかね。
親父がガンになってからは「ガンが治る水」とかいうのに騙されて。たまたまですけど、その水を飲んだ少し後に病状がよくなったことがあって、それで治療をやめちゃったんです。
「長くても余命は1ヶ月」主治医から余命宣告
――家族がマルチ商法にハマってしまった中で、すがちゃんさんが騙されなかったのは、どうしてだと思いますか。
すがちゃん 家族に対して内心、ずっと「いや何してんだよ」とか「嘘つけ」とかツッコんでいたからだと思います。ツッコミという概念が心の中にあって、だからずっと「こんなことあるか」「そんな話あるか、おかしいだろ」って、ただ心の中でツッコんでただけですね。
――お父さんはその後、どうなりましたか。
すがちゃん 「栄養をとるとガンにまで栄養が行っちゃうから『ミネラル液』だけ飲んでいたらいい」という教えに従っていたそうで、どんどん病状が悪化して。
ある時、伯母さんの家で療養していた親父のところに行ったら、会話ができないくらい状態が悪かったので、見かねて救急車を呼んだんです。親父は意識が朦朧としていて、救急隊の人によると腫瘍が腫れ上がって破裂する可能性があると。