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 その佐藤氏が6月25日、初の著書『ホンボシ 木原事件と俺の捜査秘録』(小社刊)を上梓した。

 2018年の再捜査の詳細な過程と突然の中止の裏側、事件の重要参考人の中から消去法で“最後まで残る人物”の存在……。同書では佐藤氏の視点で事件が克明に綴られている。また、警察官を志した経緯や過去に手がけた事件など、佐藤氏自身のこれまでの歩みについても明かされる。

 同書を著した理由は「3つある」と佐藤氏は言う。

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「詐欺師みたいなこと言って恥ずかしくないのか」

「第1の理由は、露木長官が『事件性は認められない』と大嘘を吐いたことと、警視庁の国府田剛前一課長が『自殺で矛盾しない』と発言したこと。これにはカチンときました」

 第2の理由として挙げるのが「昨年の報道後の警察の遺族対応」だ。種雄さんの遺族は昨年10月、警視庁に刑事告訴状を提出。受理されたが、同年12月には「事件性なし」として検察に送付された。ところが、警視庁の担当者はこの際、「事件性なし」で送付したことを遺族に伝えていなかった。佐藤氏は憤る。

「警察は、再度説明を求めた種雄さんの遺族に『聞かれなかったから事件性がないと言わなかった』と言っている。そんなことはありえません。こんな詐欺師みたいなこと言って恥ずかしくないのか、と思った」

故・安田種雄さん

 同年12月、遺族が担当検事と面会した際、安田さんの母は検事に土下座し、「大事な大事な私の息子だった」と捜査を懇願している。これが第3の理由だ。

「遺族が土下座したなんて話、聞いたことがありません。警察がやるべきことをやっていないだけなのに、なぜ遺族が土下座するのか。させたのは露木長官と国府田前捜査一課長です。こんなことは絶対に許されない」(佐藤氏)