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「このままでは自分が壊れてしまう」デンソーの課長就任→過酷すぎて“うつ病”に…大企業から独立した男性が、退職を決意した“決定的理由”

「このままでは自分が壊れてしまう」デンソーの課長就任→過酷すぎて“うつ病”に…大企業から独立した男性が、退職を決意した“決定的理由”

『会社から逃げる勇気 - デンソーと農園経営から得た教訓 -』より #2

2024/07/02
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このままでは自分が壊れる。会社から逃げるにはどうするか

 社内の相談室や心療内科の門を叩いたものの、事態は一向に好転しなかった。この頃から、このままこの職場で働き続けることが、将来の自分にどんな事態を招くのだろうと考えるようになった。

 今のような危機的なメンタルヘルスの状態が長い期間続くことは、それこそ本格的な心の病を患うことにつながり、このままでは自分が壊れてしまうという、身の危険を感じるようになっていた。

 とにかく、一度今の仕事から離れなければ、この危機的な状況を打開することはできないと考えた。さて、今の仕事から逃げるにはどうしたらいいのか、次の焦点はそこに移っていった。

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写真はイメージです ©アフロ

自分を守るために会社を辞めるしかない

 今の仕事を離れるとなると、選択肢は3つしかない。

 ①少なくとも1か月以上の長期的に休職すること。

 ②上司に願い出てもっと責任の軽い楽な部署に配置換えをしてもらうこと。この場合は、降格、つまり管理職から平社員になってしまうことも十分想定したうえでのことだ。

 ③会社を退社して転職、ないしは脱サラ起業すること。

 前述①は、同じ職場に復帰することを前提にすることを考えるとしばらく休んだところで事態が好転するとはとても思えなかった。だから選択肢から外れた。②は、いわゆる窓際族的な存在になることを意味するので、自分のプライドを捨て去り会社にとことんしがみついていくことを覚悟する必要がある。この選択は、自分にはできなかった。意外に自尊心が高く、自分の価値を自ら下げるようなことは、私にはできなかった。そうなると③の会社を辞めることしか道は残されていないことになる。

 退社して転職か脱サラ起業か。転職してまた組織の中で縛られ、気を使いながら働くことはまっぴらごめんだと考えるようになっていた。転職するくらいなら会社に残って、自分の新しい役割を模索していった方は得策だと思った。

 ならば残された道は1つしかない。それは、「自分を守るために会社を辞める、退社して独立起業する」というものだ。起業して上手くやっていける自信があったわけではない、選択可能な道は1つしかなかっただけだ。

「このままでは自分が壊れてしまう」デンソーの課長就任→過酷すぎて“うつ病”に…大企業から独立した男性が、退職を決意した“決定的理由”

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