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「このままでは自分が壊れてしまう」デンソーの課長就任→過酷すぎて“うつ病”に…大企業から独立した男性が、退職を決意した“決定的理由”

「このままでは自分が壊れてしまう」デンソーの課長就任→過酷すぎて“うつ病”に…大企業から独立した男性が、退職を決意した“決定的理由”

『会社から逃げる勇気 - デンソーと農園経営から得た教訓 -』より #2

2024/07/02
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 身上相談室は、会社でのメンタル的な相談に限らず、どんな相談にものってくれるところで、たとえば遺産相続や子育ての問題なども対象となる相談室だった。

 ここでどんなアドバイスをもらったのか、まったく覚えていない。多分、行く場所を間違えたと思ったのだろう。

 もう1つのメンタルヘルス相談は、資格を持った看護師さんがじっくり話を聞いてくれた。ここでは、しばらく休暇、休職したらどうですかと言われ、最低でも1か月、可能なら1年でもいいと、思い切ってしばらくの間、会社から離れてリフレッシュしてみないと事態は改善しないのではないかというアドバイスだった。

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 しかしながら、私のとらえ方としては、「そう簡単に言われても困る」「責任ある立場なので難しい」というもので、親身になって言ってくれたとは思ったが、寄り添ってくれている感じがしなかった。

写真はイメージです ©アフロ

やっぱり心療内科に行くしかない。

 社内の相談室は期待できないとわかり、次は医療機関の心療内科に行ってみることにした。その医院は、初診の場合のみ、診察時間終了後に30分程度時間をかけて、何に悩んでいて、今の症状がどんなものかを医師に理解してもらって、診断するようなシステムになっていた。そこで下された診断は、次のようなものだった。

「今のような過酷な職場環境なら、誰でもあなたのようになる。だからあなたはうつ病ではないと思う。でも症状を改善するために少し薬を飲んでみますか」というものだった。とりあえず安心はしたのだか、処方された薬は、抗うつ剤。いわゆるうつ病のときに処方される薬だった。

 うつ病というものは、何か数値で判断できるものではなく、あくまで医師の主観的な評価に基づいている場合が多く、仕方ないことなのだろう。処方された薬も試しに飲んでみたが、体に合わずにすぐに止めた。

 もともと薬嫌いでサプリメントなども含め、日常的に飲んでいるものはないし、病気になってもなるべく自分の治癒力で治すようにしている。抗うつ剤を飲むと、薬が効いている間は、それなりに調子がいいような気がするが、薬が切れると一気に脱力感に襲われ、無気力な状態に陥るようになり、飲んで1週間ほどで止めてしまった。

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