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 その質疑応答では、事件の経緯などについては落ちついて答えるものの、被害者に対する思いを聞かれると、マイクの震えが大きくなる。メンバーへの思いを問われると、「そうですね、あのぉ……一言で言えない。そうですね、あのぉ…」と目を瞑り、囁くように声のトーンを落とし、TOKIOのメンバーたちの名前を1人ずつ呼びながら感情にのまれていく。

 彼らに対して「どうしていいかわからない」とむせびなき、マイクの震えがさらに大きくなっていく。その姿は被害者に対する気持ち以上に、メンバーに対する申し訳なさを強く感じさせる。

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 矢田弁護士は事件の詳細についての質問だけは制止するものの、基本的には山口さんが動揺し混乱するのを、後ろで見守るだけ。事務所は芸能活動の無期限謹慎を発表したが、囲み会見を行った時点ですでに山口さんを見限っていたのではないだろうか。

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「私の席がそこにあるのであれば、またTOKIOとして…」

 それでも山口さん自身は、しばらく謹慎すればTOKIOのメンバーに戻れる、と思っていたのだろう。

 メンバーへの思いを問われ「彼らを信じて」と言い、「私の席がそこにあるのであれば、またTOKIOとしてやっていけたら」とすすり泣き、途切れ途切れの言葉で希望を語る。

「メンバーもファンも本当に早く戻ってきてほしいと思っていると思うが」と質問された時は、大きく何度も頷いた。メンバーが自分の復帰を願っていると信じていたか、信じようとしていたのだろう。

 それだけに「無期限謹慎で今後の仕事について」と具体的な予測を聞かれると「謹慎、謹慎」とつぶやきながら2度ほどマイクを持ち直す動揺ぶりを見せた。謹慎という言葉を聞いても、まだ実感がない様子だ。

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「今はそこまで(考えが)至っていません」「毎日反省する時間を過ごしたい」と殊勝な姿勢を見せるものの、「反省はしますけど、前向きに生きていかないといけない仕事ですので」と被害者のいる事件の謝罪会見にはそぐわない発言も飛び出した。

 さらに「ファンがいる限り山口達也で、TOKIOでありたいなと思っています」と発言する時は、鼻をぐずらせながら甘えるような雰囲気もあった。

 おそらくいつかTOKIOに戻れる、きっとメンバーたちは許してくれる、そう思っていたに違いない。

 しかし6日後に行われた城島茂さん、国分太一さん、松岡昌宏さん、長瀬智也さんの会見で明らかになったのは、4人との間にできてしまった絶望的なほどの心理的な溝だった。