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 スコップ片手に有元が途方に暮れていると、解体場の社長が「重機、貸そうか」と言ってくれたという。幸運なことに、ロケ車のドライバーがたまたま重機の免許を持っており、社長から小型の重機を借りて、山を突き崩し、小さくなった塊をスコップで探った。

「人生で一度も嗅いだことのないような臭い」

 2023年夏の北海道は、過去最高の熱波に見舞われていた。とめどなく流れる汗が防護マスクの中に流れこみ、やむなくマスクを外すと、「人生で一度も嗅いだことのないような臭い」(有元ディレクター)が押し寄せてくる。当然、ハエもカラスも大量に集まっている──。それでも有元は諦めずに黙々と堆肥の塊を突き崩し続けた。

 そして4時間後、「デカっ!」という有元が叫ぶ声が解体場に響いた。ついに堆肥の山の中からヒグマのものと思われる巨大な骨(腰椎)を掘り出したのである。解体場の社長によると、その堆肥の中にOSO以外のヒグマの骨は含まれていないから、これはOSOの骨と見て間違いなかった。