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 私自身が専門的な知識を持っているわけではありませんが、フォロワーさんたちに「◯◯で悩んでいるなら、どこに相談するのがおすすめ?」と聞くことはできます。フォロワーさんの中には、同じような経験をしてきた方や専門家がいるので、こういった質問にはみんな積極的に協力してくれるんですよ。だから、1人で抱え込まないでほしいです。

自分の体験に共感してくれる人がいることで、自分自身も救われた

――コミックエッセイの内容には、どんな反響がありましたか?

かりんこ Instagramでコミックエッセイを発信し始めた当初は、「エンタメとして楽しんでくれたら」と思っていました。でも意外と、「共感しました」という声をたくさんいただいて。「こんなの自分だけかも」「ムダな経験だったな」と思うことでも、発信したら共感してくれる人がいる。そして、「自分だけじゃないんだ」と知ることで、私自身も救われました。

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 一方で、この漫画に対して「男下げがひどい」というコメントをいただくことも多いんですよ。私を傷つけてきたのは男性だから、その事実のとおり書いているだけなのですが、それを「男下げ」と捉える人もいるようです。

 でも、漫画の中では、私を助けてくれた男性たちのことも描いています。私を匿ってくれた隣人の「ぴょんす」さんや警察官の方、一生懸命治療してくれたお医者さん、彼ピッピを取り押さえてくれた同じフロアの方だって男性でした。私は彼らに救われたから、男性恐怖症などにならずに済んだのかもしれない、とも感じているんです。

助けてくれた隣人の男性(『メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話』より)

 この漫画を「男下げがテーマ」という人には、その事実にもちゃんと目を向けてほしいなと思っています。男女関係なく、人を傷つける人はいる。でも同じように、男女関係なく手を差し伸べてくれる人もいると、事件を通じて知ることができましたし、それが読者の方々にも伝わると嬉しいです。

――最後に、漫画家として今後挑戦したいことはありますか。

かりんこ 実は鼻をフォークで刺されたこと以外にも、もっと変な経験をたくさんしてきているんです(笑)。それにも、「自分だけじゃないんだ」とホッとしてくれる人が、どこかにいるかもしれない。だから、これからも漫画を通して自分の経験を発信していきたいですね。

 

撮影=石川啓次/文藝春秋