2023年7月、初の著書『メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話』(KADOKAWA)を上梓した漫画家の前田シェリーかりんこさん。
以前からInstagramに子育てや自身の体験を綴ったコミックエッセイを投稿していたところ、感情の浮き沈みが激しい、いわゆる“メンヘラ”の元恋人「彼ピッピ」にフォークで鼻を刺されて警察沙汰になった話がバズり、書籍化となった。
「誰だって、メンヘラと付き合いたいとは思わない。でも、“人格者”と言われている人が、付き合い始めたらメンヘラに豹変することも多いんです」
そう話す彼女に、フォークで鼻を刺されるまでの経緯を詳しく聞いた。(全3回の1回目/2回目に続く)
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「メンヘラ製造機」と呼ばれていた私
――書籍のタイトルにもなっていますが、かりんこさんは、交際相手が次第に精神的に不安定になってしまうことから「メンヘラ製造機」と呼ばれていたことがあるそうですね。
前田シェリーかりんこさん(以下、かりんこ) これまでお付き合いした方に、情緒不安定で感情の起伏が激しい「メンヘラ」が多かったんです。最初は「自立していて素敵な人だな」と思っても、付き合ってしばらく経つと束縛やDVをしてきて。
――付き合う前には、そういった“性格”は分からないのでしょうか?
かりんこ SNSには「人を見る目がない」「そんな相手を選んだお前が悪い」といったコメントがよく届くのですが、付き合う前に見分けるのはかなり難しいと思っています。私と付き合って“メンヘラ化”してきた方たちは、どちらかというと人当たりが良くて誰からも好かれるタイプの人が多かった。
書籍に出てくる“彼ピッピ”もそうです。職場の先輩だったのですが、仕事の評価は高く、上からも下からも慕われている人でした。そんな素敵な人が、付き合った途端に豹変するなんて想像できないじゃないですか。
ただ、今振り返ると、彼ピッピを含めてみんな「メンヘラの芽」を抱えていたんだろうなと思っています。それを私が発芽させちゃったんだろうなって。
――「メンヘラの芽」とは、どのようなものなのでしょうか。
かりんこ 仕事ができて周囲からの信頼が厚い方って、抱えているストレスも大きいと思うんですよ。それを私が増幅させて、攻撃的にさせてしまっていたのかな、と思います。