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「男下げがひどい」「男を見る目がない」と批判も…“恋人にフォークで鼻を刺された”漫画家が、それでも壮絶な恋愛経験を発信する理由

『メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話』著者・前田シェリーかりんこさんインタビュー #3

2024/07/15

genre : ニュース, 社会

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――早い段階で前を向くことができたんですね。

かりんこ 「人生は一回きりしかない」と思って生きているから、退院してすぐに行動できたのかもしれません。それに、「どんなに辛い経験も、将来的には、私の人生に必要だったと思えるかもしれない」と考えているんです。そうすれば、少し気が楽になるんじゃないかな、と思っていて。

 例えば、彼ピッピを含めて精神的に不安定な男性と付き合うことで、大抵のことは物怖じせず受け入れられるようになりました。だから、ムダな経験じゃなかったなと。今は、鼻にフォークを刺された経験も、私の人生には必要だったと思っています。

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DVやモラハラ被害は1人で抱え込まないでほしい

――ご自身のように強い気持ちで向き合える人がいる一方で、そうではない人もたくさんいるのが難しいところですよね。

かりんこ もちろん、私と同じように早く立ち直れる人もいれば、そうじゃない人もいるのは分かっています。漫画の読者やSNSのフォロワーさんから、悩み相談のDMをいただくことがあるのですが、鼻にフォークを刺されたことなんて霞んでしまうくらい、大変な状況に悩んでいる人たちがいる。その人たちはみんな、トラウマから抜け出すために私以上に努力しているんですよ。でも、マインドの切り替えがうまくいかなくて辛い思いをしています。

 だから、「私はこうしたら立ち直れたから、あなたもできるよ」とは簡単には言えません。

――ちなみにどんな相談のDMが来るのか、可能な範囲で教えていただけますか。

かりんこ 男女問わず「パートナーからDVやモラハラの被害を受けている」というDMは多いですね。個人的には、男性が受けたレイプ被害に関する相談が特につらくて……。男性の場合、勇気を出して相談しても「男のくせに女にやられて恥ずかしくないのか」「気持ちいい思いをしたならいいじゃない」と言われてしまうことも多く、まともに話を聞いてくれるところがほとんどない。女性へのサポートもまだまだですが、男性はそれ以上に被害を相談できる場所がないんです。

 

――男女問わず、「セカンドレイプが不安で誰かに打ち明けるのが怖い」という人が多いのですね。

かりんこ 各自治体に相談できる専門機関はあるのですが、地域や担当者によって対応はさまざま。正直、“当たり外れ”が大きいと思います。もし自治体に相談してしっくりこなかったら、DVやモラハラについて発信しているインフルエンサーに相談するのもひとつの手段です。もちろん、私でも構いません。

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