アメリカン・リーグ、4月の最優秀新人に選ばれたエンゼルスの大谷翔平。現地で大谷を撮る日本人カメラマン・田口有史氏が、「5つの名場面」をピックアップする。MLBオフィシャルフォトグラファーの経験も持ち、アメリカと日本を行き来しながら20年以上スポーツを撮り続けている田口氏が見た、「TVには映らない大谷の凄み」とは――。
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【名場面1】初登板第1球、96マイルのストレートでストライク
4月1日。大谷選手注目の初登板の第1球。スプリングトレーニング期間中、結果が出ていないとか、メジャー相手に投げていないとか、マイナーからスタートするべきなどと言われていた中で迎えたマウンド。カメラマンとしても、オープン戦の最中、ネット裏で撮影していた時に、ストライクゾーンを大きく外れてこちらまで真っ直ぐに向かってくるような時があったため、果たしてコントロールが定まるのであろうかと、多く人が注目するなか投じた、メジャーリーグ初球。96マイル(約155km)のストレートが綺麗にキャッチャー、マルドナドのミットに収まると、球場全体がホッとするような雰囲気に包まれ、そして今度はなかなかやるんじゃないかという空気になった。
【名場面2】本拠地初打席でホームラン。“新人いじり”に満点リアクション
オークランドでの開幕戦、初打席初安打を記録したのち、本拠地でのお披露目となったホームゲーム第2戦。最初の打席でいきなりホームランを放ちベンチに戻ると、メジャーリーグ恒例の新人いじり。“サイレントトリートメント”で出迎えられた。喜んでダグアウトに戻ると、誰ひとり振り向いてくれない。そんな中、ひとりエアハイファイブ(ハイタッチ)をしたのち、我慢できずに主力選手の1人、イアン・キンズラー選手に飛びついて祝福をせがむ。多くの新人が、どうして良いか戸惑ってオロオロする事が多いこのいたずらに対して、満点のリアクションで返す大谷選手は、やはりプレー以外でも今までの常識を覆すような選手なのかと感じられた瞬間であった。