「そういうかわいげのないところに左大臣さま(藤原道長)も嫌気がさしたのではないか」
吉高由里子演じる主人公のまひろ(紫式部)からの手紙を他の女に見せていたことを責められて、こう言い返し、灰を顔にかけられる夫の藤原宣孝。NHK大河ドラマ「光る君へ」で女心を解さない“残念な男”を演じるのは佐々木蔵之介(56)。だが、現実は――。
◆◆◆
会社を辞めて役者人生を歩んだ佐々木
京都の中心、二条城そばの造り酒屋に生まれた佐々木は、生粋の京男。
「撮影現場では、いつも関西弁で明るく話しています。親しいスタッフや共演者からは『クラさん』と呼ばれている。劇中では微妙な夫婦関係を演じていますが、吉高さんとも共演歴があることもあって、現場では楽しそうにお喋りしています」(ドラマスタッフ)
家業を継ぐため、神戸大学農学部を出て関西の広告代理店で社会人経験を積んでいた佐々木。学生時代から打ち込んでいた演劇の夢を諦められず、会社を辞めて役者人生を歩き出す。
「役者として全国区となったのが、2000年のNHK朝ドラ『オードリー』。脚本は『光る君へ』と同じ大石静さんです。その後もいくつもの大石作品に出ていて、佐々木さんにとって大石さんは恩人と言っていい存在。大石さんは佐々木さんのような爬虫類顔が好きなようで、『光る君へ』に出演している大石作品常連の段田安則さんや、道長の兄役の玉置玲央さんもその系統です(笑)」(同前)