念願の朝ドラデビューも果たし、飛躍の年に
――こねこフィルムで話題になると同時に、今年は『虎に翼』や『アンメット』などに出演され、飛躍の年になりました。
「念願の朝ドラデビューも果たせました(笑)! この半年間でインスタのフォロワーは50倍の5万人になって、自分でも驚いています。役者の名前を覚えてもらえるようにという三野龍一監督の意向で、こねこフィルムの動画は役者の名前がそのまま役名になっているのですが、おかげさまで、たくさんの方に『麻里子さん』『マリリン』とSNSで声をかけてもらって、応援していただいて。ありがたいことです。こねこフィルムチームにも本当に感謝しています」
お父さんがこの役をプレゼントしてくれたのかな
――ドラマ『アンメット』では、記憶障害の夫を気丈に支える妻の役を演じていました。難しい役どころだったと思うのですが、何か役作りはされたんですか?
「まずは、主演の杉咲花さん、そして若葉竜也さんの芝居が素晴らしく、引っ張って頂いた感が強く、撮影が終わってひと月経った今でも余韻が残っています。また監督はじめスタッフの皆様のお仕事ぶりが、寸分の隙もない完璧さ。経験したことのない高揚感に満ちた現場でした。そしてプロデューサーの方に、実体験を聞かせて頂いたことも大きなひとつです。実は今年の2月、父が入院中に亡くなったのですが、その時の経験も大きかったかなと思います」
――そんなことがおありだったんですね。
「とても元気な父だったのですが、躓いて怪我をして入院したことをきっかけに、ショックでせん妄状態になってしまって。なんとか家に帰そうと、毎日病院に通いましたが、最後は誤嚥性肺炎で……。役をいただいたのは、父が亡くなった直後だったので、なんてタイムリーなんだろうと思うと同時に、父がこの役をプレゼントしてくれたのかな、と。ドラマの中で病室に入る時、『来たよ』と言う時の私の声は、父を看病している時とほとんど一緒でしたから」
――つらい気持ちを抑えながら、少しでも明るく振る舞おうとする様子はとてもリアルに感じられました。
「そう言ってくださる人もいる一方で、SNSには『あのコンビニの人じゃん』『ドラマが全然頭に入ってこなかった』といった声もけっこうあったんですよ。こねこフィルムではコメディー色の強いキャラクターを演じてきたので、そのイメージがついてしまっては、もうシリアスなドラマに呼んでもらえないかもと不安にもなりました。でも、よくよく考えてみたら、アイドルや芸人の方もイメージを引き摺らずに映画やドラマに出てすばらしい仕事をされている。アメリカや中国では縦型のドラマが主流になりつつあるとも聞きますし、これも役者の宿命と受け入れ、SNSとテレビや映画、どちらのお芝居も視聴者の方に慣れてもらえばいいんだ、双方ともに全力でやり切ればいい。最近はそう思うようになりました」