『正義のセ』がとくにすごい!?
例えば、4月11日(水)にはじまった『正義のセ』は、ホームドラマ的な側面もあり、家族がお茶の間的な場にそろうシーンで、吉高由里子演じるヒロインの家族構成が朝ドラ大集合で、SNS を沸かせた。
父役は『べっぴんさん』の生瀬勝久、母役は『ごちそうさん』の宮崎美子、妹役は、終わったばかりの『わろてんか』の広瀬アリス、恋人役の大野拓朗も『わろてんか』に出ていた。しかも、ヒロインの名前・凛々子と、広瀬アリスの『わろてんか』での役名・リリコがかぶっており、あれ、どちらが“りりこ”だっけ? と混乱させる。
さらに、上司は『おひさま』の寺脇康文、職場の同僚に『べっぴんさん』の夙川アトム、『まれ』の塚地武雅と、朝ドラ俳優目白押しだ。前述したが、安田顕も『瞳』に出ているが、ここでいう朝ドラは、10年代以降のものに絞るので、安田は「朝ドラ」枠としない。と書いたところで、2019年放送の100作目『なつぞら」に出演が決まったことが4月26日に発表されたので、やっぱりファミリーに。
『未解決の女』は“戦隊ヒーロー大集合状態”
その後、4月19日(木)にはじまった『未解決の女』では、主人公の波瑠のほか、山内圭哉、工藤阿須加と、3人も『あさが来た』出演者が集合、既視感ハンパなかった。そのうえ、『わろてんか』の遠藤憲一と鈴木京香とが加わり、ひとつの場面に、BK(大阪局)の朝ドラチームが集結した場面は、もはや「仮面ライダーや戦隊ヒーロー大集合」状態。ゲストの風間俊介も『純と愛』出演者という徹底ぶり。ほかに、唯一、AK(東京局)から『ひよっこ』の沢村一樹が参加しているが、ここまでやったら、全員、BKで統一させてほしかった。
テレ朝は、『正義のセ』以上に固めてきているなと感じたあと、フジテレビの『モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―』にチャンネルを切り替えると、またまた『あさが来た』のディーン・フジオカが出ている。それはあらかじめ織り込み済みだったが、彼の母親が、『あさが来た』で波瑠のお姑さん役だった風吹ジュンがキャスティングされていることを知らずに見て驚いた。しかも彼女は、現在『半分、青い。』のおばあさん兼ナレーションをやっている。
そんな風吹ジュンの息子役を『あさが来た』でやっていた玉木宏は、金曜日の『あなたには帰る家がある』に出演。週末の木・金3本が、リメンバー『あさが来た』になって、『あさが来た』ファンにはうれしい悲鳴。
日曜劇場は『ひよっこ』の竹内涼真と『わろてんか』の葵わかな
朝ドラは、視聴率20%前後を誇り、圧倒的にたくさんの人に認識されているコンテンツ。その出演者も自ずと全国区で幅広い層に知られるようになる。街を歩いていて、存在に気づかれるようになるのは、主人公だけではないそうで、だからこそ、昔から、朝ドラで人気を得た俳優は、主役でも脇役でも、頻繁に他局に出るようになっていた。『ひよっこ』の竹内涼真と『わろてんか』の葵わかなをキャスティングしている日曜劇場は、今期に限らず、芳根京子(『べっぴんさん』)、土屋太鳳(『まれ』)と、朝ドラ終了後、すぐに朝ドラヒロインをスライドするように起用することが続いている。
テレビドラマはやっぱり知った顔(それも好感度の高い)が出ているほうが見る気になるから、朝ドラ後の熱にあやかりたいと思うのは無理もない。とくにいま、昔とくらべて視聴率がとれないから、すこしでもフックがほしいだろう。そうなると、俳優たちには、まず朝ドラに出ないといけないという使命が課せられそう。そして、朝ドラに出られない人は淘汰されてしまう心配もある。朝ドラファミリーに名を連ねることで生き残っていける、この正の連鎖は、朝ドラファミリーを今後ますます巨大化させていくのではないか。朝ドラファミリーに栄光あれ。民放の存在意義はどこに。