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森山未來さん。

――「虚構の世界」というのは、現実にはない、つまり「不在」ということにもつながりそうです。

『大いなる不在』のタイトルにもある「不在」というのは、かつてはそこに「在った」からこそ「不在」と呼ばれるんですよね。

 俳優という仕事は、「脚本」を軸に「言語」というものを駆使して作家や観客とコミュニケーションをとりながら表現に転化していくものですが、卓の父親である陽二さんも、長年大学教授を務め、言語を駆使して生きてきた方です。そんな「言語」によってコミュニケーションを取ることが最重要だと認識してきた人間が、認知症によって言語が失われていく。

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 でも、そのことで言葉にならない想いだけが残り、通じ合えなかった父と子に言語を超えた何かしらのつながりが生まれる。

 これが『大いなる不在』の中で起きたことのひとつなのではないかと、僕は思っています。

映画『大いなる不在』

©2023 クレイテプス

公開日:全国公開中
配給:ギャガ
監督:近浦啓(http://keichikaura.com/
出演:森山未來、真木よう子、原日出子、藤竜也 他
公式サイト:https://gaga.ne.jp/greatabsence/