1ページ目から読む
2/2ページ目

ジョニーの思いの向かう先は「場内演出を科学する」こと

 映像や音楽、ときには照明も含めた演出でショーアップされたプロ野球の世界。しかし、試合は生もので、いつも同じ状況になるわけではありません。私がアナウンスを担当していた頃のバファローズの演出は、イニングごとの基本線はあったのですが、展開によっては当初の予定を大幅に変更して行いました。

 引き締まった試合では、流れをできるだけ邪魔しないように……とか、相手に打ち込まれてダレてしまった時には、お客さまを巻き込む遊びを採り入れたりして、気持ちが楽しくなるような時間を作ったりとか。

 カメラ、音響、テロッパー、VTR、スイッチャー、ディレクターと場内アナ、イベントクルー×お客さまというコラボレーションで、バファローズのスタジアムは日々のショーが繰り広げられました。演者としては、生放送の緊張感を楽しむ感覚で試合に臨んでいたように思います。

ADVERTISEMENT

 さて、その輪の中心にいたジョニーはというと、オリックスをはじめ3球団を渡り歩き、今はプロ野球の世界にはいません。あるメーカーで、演出の効果を立証し、提示に役立つ指標づくりの仕事に勤しんでいます。

「当時、僕らが会社の上の人などに、この演出はココがいいんだ! って言いたくても、客観的に裏付けられ、説得力を持つ指標ってなかったんですよね。場内演出が経済的なインパクトにつながる(利益に貢献する)ことの裏付け……。そういうものを〝数値化〟することで、注力すべきポイントが明確になったり、適切な費用対効果が図られ、顧客満足度を高めたり、結果としてスポーツビジネスに役立つと思うんです」と話してくれました。

 日本のプロ野球界に大きな置き土産を残したジョニーは、スタジアム演出の次のステップのために、違う角度からスポーツ界の“演出”に向き合っています。やがてどんな“解”が導き出され、エンターテインメントの世界に活かされていくのか……。元同僚として楽しみです。

 スタジアムの演出は、時代が進むにつれて技法も手法も変わっていきますが、お客さまとの一体感を作り出し、楽しんでいただこうという思いは変わらないはずです。ぜひ、球場へお出かけになって感じ取って下さい。そして、大きな声援で一体感を作り出し、選手を後押しして下さい。選手には、それが一番の力になるのですから。

※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/7237でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。