今回の文春野球コラムはホークスとの対戦、しかも共通テーマが「ちょうせん」だというではないか。これが「朝鮮」であれば南北会談などタイムリーな話題も多く、且つ我らがBsチームは木村幹教授と言う、いわゆるその分野での第一人者を有しているから圧倒的に有利だったのかもしれない。しかし残念ながら共通テーマは「挑戦」である。「挑戦」……野球コラムであるしそれはそうか。まぁしかし、我々パ・リーグファンは慢性的にホークスに「挑戦」しているようなものだから、ここは素直に「挑戦」者として挑もう。という事でひとつ最後まで宜しくお願い致します。

 言わずもがな「挑戦」=「戦いを挑む事」である。「チャレンジ」とか「トライ」と言った方が伝わり易いのかもしれない。何と!!! 前置きを書いただけで早速関連ワードが出てきたではないか。そう「トライ」……。やや強引かもしれないが、目下一軍定着に向け様々な「挑戦」と努力を積み重ねる男の話。「挑戦」=「トライ」=「寅威」=「伏見寅威」。1990年生まれの27歳、2012年のドラフト3位指名、東海大学出身の強打の捕手である。あぁ、Bs担当で実にラッキーであった。

4月11日の楽天戦で9回に同点の適時打を放った伏見寅威

清宮幸太郎だけじゃない「父はラガーマン野球選手」

 伏見寅威。野球選手にして「トライ」と言う名前に少し違和感を覚えるかもしれない。いやこれが「球児」とか「甲子郎」なら野球ぽいし、キラキラネームであれば「童夢」とかでも野球の神様に愛されていそうだ。「修斗」でも良いだろう。「修斗」ならまだ野球でもサッカーでもバスケットでもハンドボールでも出来そうだから。しかし「トライ」である。「トライ」と言ったらもうラグビーしかないではないか。それもスクール・ウォーズ世代の我々なら「伏見」と聞けば「山口先生」と即答するくらい伏見工業高校もお馴染みラグビーの代名詞。

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 伏見寅威……。あまりにラグビー漫画の主人公に適しすぎた名前である。それもそのはず、実は伏見選手の父はラガーマンであり、そこから「寅威」と名付けられたのだとか。あれ? どこかで聞いた生い立ちではないか? そう、あの清宮幸太郎選手(日本ハム)と同じである。

 この伏見選手。父親のプレッシャー、いやいや期待をどこ吹く風、すくすくと立派な野球選手に育ってくれた。東海大四高から東海大へ野球街道まっしぐらである。それにこの世代の東海大である、菅野智之(読売)擁する東海大で彼とバッテリーを組んでいたのがこの伏見選手なのだ。若月健矢・伊藤光・山崎勝己とポジション争いの激しいBs捕手陣に於いてその打撃を買われ一塁手、そして代打にも果敢に「挑戦」している。その事がどれだけBs首脳陣の采配を支えてくれているだろうか。例えば、T-岡田が不調の際、ファーストで伏見をスタメン起用する、そして決定機にT-岡田を代打起用、そのままT-岡田をファーストに、そして伏見を捕手に守備交代させるといった巧みな選手起用を可能にしているのだ。