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マラソンは芸術だ…箱根駅伝に挑み続ける早稲田大学競走部に継承される教え

マラソンは芸術だ…箱根駅伝に挑み続ける早稲田大学競走部に継承される教え

『俺たちの箱根駅伝』(池井戸潤)を読む #1

6時間前

source : 文藝出版局

genre : エンタメ, 読書, 社会, 企業

note

監督の伴走車は本当に必要なのか?

――『俺たちの箱根駅伝』にも「ランナーはクリエイターじゃなきゃだめだ」という、監督のセリフが出てきますが、まさにそれを実感されているというわけですね。

花田 私の場合には現役時代は何十年も前になるので、選手として走っている場面に感情移入するのではなく、むしろ甲斐監督のランナーたちへの声掛けに、自分を重ねながら読みました。上武大学での監督時代から、「この地点までを何キロペースで」「前との差は何秒」といった戦略的な声掛けよりも、どういう言葉をかけたら選手のモチベーションが上がるか、リラックスできるだろうか、頑張れるだろうかということを考えてきました。

第70回東京箱根間往復大学駅伝大会2区で山梨学院大学のマヤカ選手と競り合う花田選手

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 早稲田にきてからも、大きな声で叱咤激励するのがあんまり得意ではないですし、実は監督の伴走車はなくてもいいんだと思っているんです。自分の現役のときには伴走車も給水もなかったので、20kmにかかる1時間ちょっとの時間を、ひとりでどうやってレースを組み立てるかを考えながら走っていました。声掛けはペースを作ったり上げたりする助力になるかもしれないけれど、本当はそれがなくてもひとりで走れるほうがいい。本人たちが自分の力でがんばってほしいという気持ちが強いですね。