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〈有権者、同僚議員、行政職員に「若い」「女性」へは失礼があってもよいと考える人もおり、パワハラ、セクハラが必ずついてまわります。そのため、せっかく当選しても長く続けられず、女性の声、若い世代の声が行政に届きにくいまま、改善されることはありません〉

「体触っていいか」

 この書き込みをした女性議員は、議会の会議室で、同じ会派の男性議員とうち合わせをしていた時に、他の議員から耳を疑うようなことを言われた。

「できているんじゃない? デートか?」

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 真面目に、議会での活動方針について打ち合わせているのに、そのようなことを言われた。それも一度や二度ではない。まるで小・中学生が恋愛を冷やかすような言葉だが、いわれるたびに心が折れかけた。

「きょうは生理か」なんて事を平然と聞いてくる人も後を絶たない。行政の幹部から、廊下で急に「体触っていいか」と何の脈絡もなく言われたこともあった。しかし、相談できる相手は、周りにいない。

写真はイメージ ©getty

 信じられないような話だが、どうやらこれが実態らしい。議会の内外で女性議員を取り巻く環境には、「時代錯誤」、いや、犯罪行為とも言えるような横暴もまかり通っているというのだ。

 議会内でハラスメントが横行している実態はアンケートの集計データからも浮かび上がる。

「別の議員のセクハラ・パワハラがある」という設問には15%、「有権者のセクハラ・パワハラがある」という設問には10%が、そう思うと答えた。何と議員の方が、割合が高いのだ。議員は社会に蔓延するセクハラ、パワハラ、モラハラを社会から無くす方策などを率先して考える立場なのだが……。ハラスメントの有無については、性別によって認識の隔たりが見られた。

地方議員は必要か 3万2千人の大アンケート (文春新書 1267)

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NHKスペシャル取材班

文藝春秋

2020年6月19日 発売