アンケートによれば、「飲み会の席でコンパニオンのような扱いをされた」女性議員も…。女性の政治進出を妨げる、悪質なハラスメントの実態とは? 全国1788の地方議会(都道府県・政令指定市・市区町村)と、そこに所属する約3万2000人の議員すべてを対象とした大規模アンケートを行った、NHKスペシャル取材班による新書『地方議員は必要か 3万2千人の大アンケート』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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議会は“超男社会”
日本の地方議会は、聞きしに勝る“男社会”だ。
女性の地方参政権が認められたのは1946年。その翌年に行われた第一回統一地方選挙で当選した女性議員は793人、当選者全体に占める比率は0.4%だった。
それから70余年。NHKが2019年1月1日現在で調べたところ、全国の地方議員の女性の比率は約13%。女性議員が一人もいない、「女性ゼロ議会」は全国1788議会のうち、340にのぼる。
都道府県ごとの女性議員の比率にも大きな差がある。20%を超えているのは、東京都・神奈川県・埼玉県のわずか三都県しかない。一方、低いところは、青森県(7.3%)、長崎県(7.4%)、山梨県(7.6%)などで、10%を超えていない県は18県もあった。「女性ゼロ議会」は市議会では全体の5%、町議会では27%、村議会に至っては55%もあった。
2019年の統一地方選挙は、男性と女性の候補者の比率をできる限り均等にする法律、「政治分野における男女共同参画推進法」の施行後、初めての大規模選挙だった。議員選挙に立候補した女性候補者の割合は、道府県議・市区議・町村議で過去最高となったが、当選した女性の比率の上昇は僅かにとどまった。比率は回数を重ねる毎に着実に高まっているが、その歩みはあまりに緩やかだ。
「婦人参政権が平等で平和な社会を築く手がかり、『鍵』である」
そう訴えて女性参政権運動に尽力した故・市川房枝参議院議員の記念会が東京・渋谷区代々木にある。市川房枝の精神を受け継ぎ、いまも政治家を志す女性や有権者向けの勉強会などに取り組んでいる。
市川房枝の晩年に秘書を務めた久保公子理事長に、なぜ女性議員が増えないのか、なぜ増えた方が良いのか尋ねた。